2014年 04月 23日

ジョン・ラッツ「稲妻に乗れ」読了/ジルベール・タニュジ「赤い運河」半分

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 しつこさだけが全能力ともいえるセントルイスの私立探偵、アロー・
ナジャーをもう一冊読んでみた。

 彼は「深夜回線の女」のときより、やや攻撃性を見せているが、事件
絡みではなく__脅しにかかってきた大男に徹底的にやられる。__、
自殺を防いだことでつき合い始めた女性、クローディアの新しい男友だち
に嫉妬して殴りかかり、空手の茶帯・男に軽くあしらわれる。
 家庭内暴力の連鎖からまだ離れきっていないクローディアが、彼女の
事情にタッチしない、ニュートラルな(?)男ともつき合ってみたいと思う
のは回復期にあるからだが、ナジャーとしては無論おもしろい筈がない。

 こういった箇所は巧く書かれているのに、ミステリ部分がなんだか弱い。
「深夜回線の女」にも似たような感じがしたけれど、読んでいて解決への
道のりが充分に納得させてくれない、と思うのだ。ここでいえば、弁護士が
電気椅子を待つだけになった犯人とされる男の無罪を信じ始める件りが、
そうである。弁護士もまた無罪を確信した、みたようなことが書かれているが、
そう書いただけでは何も言ってないに等しい。描写力が必要だろう、読者も
また、確信するためには。

 一人称でなく三人称で書かれる私立探偵ものだから、推理部分に漠然と
遠さや弱さを感じるのかとも最初考えていたのだが、そうじゃなくて、たぶん
ミステリとしての骨格の弱さではないかしら? 推理もせずにミステリを読み
続けるあたしが言うのも口幅ったく、あつかましいけれど。

     (HPB 1989初 帯 VJ無)

 口直しにジルベール・タニュジ「赤い運河」を読み始めた。「赤い運河」と
いっても火星の話ではない。





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by byogakudo | 2014-04-23 20:29 | 読書ノート | Comments(0)


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