猫額洞の日々

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2014年 06月 04日

色川武大「あちゃらかぱいッ」抜き書き1

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 その前にやっとローレンス・ブロック「泥棒は選べない」を読んだ
けれど、色川武大「あちゃらかぱいッ」に出てくるマイナーな浅草
藝人のエピソードがきれいなので、誰のことだか混乱しないよう、
抜き書きしておこう。

 土屋伍一: 素人出身のカジノフォーリーの歌手。歌唱力があり、
姿形も優美な二枚目だが、やる気がない。女にもてる。ヒモとして
もっぱら生きる。高見順「如何なる星の下に」の五郎ちゃん、だそうで、
読まなくっちゃ。

 林葉三(はやし・ようぞう): 社交ダンスは得意だが他は何も知らない、
これも素人出身。他人と絡むのが駄目で、最初からソロダンサー。のっぽを
活かしたニグロ・スネークダンスを歌い踊り、小さいエノケンがつき合う。
<土屋伍一と同じで、気が乗らない日は別人の如く冴(さ)えない。
 煙草を吸ったまま舞台に出て行き、音楽が鳴っている間、じっと
 煙草を吸っていて動かず、ついに短くなった奴(やつ)を捨てて足で
 にじり消し、そのままひっこんできたことがある。>(p19)
 あら、「村八分」のカントみたい。

 ふだんはおとなしい。酒が入ると少し元気。
 即興の踊りのセンスはあるが、基礎がないので藝の引出しがない。
ふらりと浅草を出て行っては、また舞い戻る。
< 笑の王国創立時に、徳川夢声が主演した"カリガリ博士"の中で、
 夢遊病者のセザールの役を林葉三がやった。これは、適役でもあり、
 また本人も気にいったらしく、入神の出来だったという。>(p37)
 ところが公演中にひとり娘を亡くす。楽屋で骨壺から愛児の骨を
つかみだしてかじっているので、支配人からクビにされる。
< 林葉三は、よっぽど"カリガリ博士"に執着していたらしく、眠り男の
 役をラク日(び)までちゃんと勤めて、やめていった。>(p38)

 その後、吉本興業に買われるが、舞台を投げ、東京に戻り女と同棲、
ぶらぶらしていたが、女に逃げられる。
< それから半年ほどして、林葉三が上海(シャンハイ)のキャバレーで、
 スネークダンスを踊っているうちに急に ひっくり返ったという。
 急性脳膜炎だったらしい。一緒に行っていた田中実(田崎潤)が、凄惨
 (せいさん)な死に方だったと皆に知らせた。>(p42)

 もうひとり、エノケンよりもさらに小さい鈴木桂介の抜き書きをしたいが、
疲れたのでまた明日にでも。

     (河出文庫 2006初 J)

(6月7日に続く~)





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by byogakudo | 2014-06-04 16:17 | 読書ノート | Comments(0)


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