猫額洞の日々

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2014年 06月 08日

吉村平吉「吉原酔狂ぐらし」読了

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 吉村平吉の本ではむかし読んだ2冊がよかったと思うのだけれど、
残念、タイトルが思い出せない。一冊は文庫本で、たしか雄琴の
トルコ風呂村・レポートだった。もう一冊は単行本で、モノクローム
写真頁がアナーキーでいかしてた。新年会かクリスマス・パーティか、
胸をはだけたふんどし姿のお姐さんの、ふんどしを引っ張ると日の丸柄
である。どちらもやけくそなエネルギーが伝わってくる、感動的な本
だった。子母澤寛の「愛猿記」と同じように情熱的に褒めまくって、
お売りした。

[6月9日 訂正追記:
 大変失礼いたしました。なんかヘンと思って、あれこれ検索してやっと、
吉村平吉と広岡敬一を混同していたのに気づきました。頭の中で同じ
ジャンルに入っていて、いつの間にか同一人物視していたようです。
 文庫本の<雄琴のトルコ風呂村・レポート>は広岡敬一「ちろりん村顛末記」、
単行本は、同じく広岡敬一の、おそらく「浅草行進曲」か何か、だと思います。
 だとすると、ふんどし姿はパーティ場面ではなく、ストリップティーズの演出
ということですが、一度読んですぐ売ってしまったので確認できません。]

[広岡敬一に関しては、2016年9月4日に続く~]


 『第二章 道楽者エレジー (2)七五三盛衰記』より引用__

< 昭和二十七年七月、全国の新聞に"デラックス・キャバレー
 夢の吉原に誕生!!! 近代女性求む"という広告を大々的に掲載し、
 華々しく開店したのが「ロビン」だった。戦前からの老舗の風格の
 あった大籬(おおまがき)=大見世「角海老」、「大華」とはまた
 違った意匠のキンキラキンの戦後派の大店だった。
  一階がダンス・フロアーのホールになっており、七人編成の専属
 バンドの演奏に乗って、優に百人以上のダンサーと客が踊れる広さ
 だった。
  二階がいわゆる"遊興の部屋"になっていて、それぞれ一戸建風の
 各部屋には、広重、春信、国貞など浮世絵師の名が冠せられ、洋間
 にはミレー、ダビンチと凝ったものだった。その遊興費が最低五千円、
 一万円から一万二千円までのランクがあったそうだから驚く。
  戦前派の「角海老」、「大華」は、だいたいその半分ぐらいの料金が
 相場だった。>(p99~100)

 若い盛りの吉村平吉では登楼する余裕がなかったが、

< ただ、「ロビン」開店の年のXマス・イヴの、文化放送ラジオで
 この「ロビン」からの"実況中継"というものを、偶然にわたしも
 聴いている。
  森繁久彌、古川ロッパ、丹下キヨ子、その他、豪華な出演者による
 放送だったのを覚えているが、Xマス狂乱の時代だったとはいえ、赤線
 の店からの中継とは、おそらく前代未聞の珍事だろう。>(p100)

 彰国社「建築写真文庫」シリーズの「クラブ・キャバレー」という題名
だったかどうか、これも思い出せないが、その中に「ロビン」の写真が
あった。「ロビン」はコマドリに由来しない。外壁に取りつけられたネオン
文字は、たしか「蘆瓶」。あくまでも吉原由来なのである。

     (ちくま文庫 2003初 J)





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by byogakudo | 2014-06-08 16:47 | 読書ノート | Comments(1)
Commented by saheizi-inokori at 2014-06-08 17:12
タッチの差でリアル吉原を観ることができなかったのです。
本書もやや「線後」に偏ってますが、人々のまとう空気が伝わってきました。


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