猫額洞の日々

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2014年 06月 25日

桜庭一樹「製鉄天使」読了

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 毎日ヨレてて、ヨレは深まり、この先しばらくこれが続くかと
気が重くなる今日この頃ではあるが、であるからか、近くのBO
までヨレた身体を引きずって行く。なんにもないので特に知られる
近場のBOだけれど、それでも眼光紙背、4冊見つける。執念である。
 あ、半額の前田愛「幻景の街 文学の都市を歩く」(岩波現代文庫
2006初 J)の鉛筆線引きを見つけてしまって、それを告げたら108円に
してもらったBOでもある。線引きを発見しちゃうのが、まだ古本屋の
尻尾なのだろうか。これは半分くらい読んで止まっている。

 見つけた4冊のうち、ローレンス・ブロック「墓場への切符」(二見文庫
1995初 J)をSに廻し、須賀敦子「本に読まれて」(中公文庫 2001初 J)と
小島政二郎「天下一品 食いしん坊の記録」(河出文庫 2012初 J)を読み
ながら、桜庭一樹「製鉄天使」(創元推理文庫 2012初 J)を読み終えた。

 数年前(え、2007年だった!)に読んだはずの「赤朽葉家の伝説」の
スピンオフらしいが、「赤朽葉家の伝説」自体、覚えていない。あの頃
お師匠さんから次々にお借りして読んで、当時流行りの(?)民俗学ネタ
みたいなところに食傷して(だったと思う)、「私の男」で好きになった
桜庭一樹である。
 直木賞をもらった後で、ライトノヴェル調というのか、鳥取県のレディース
の物語を書く、という、立派指向しない根性ないしセンスが大変結構だ。
そこを評価すべきだと思うが、あまぞんのレヴュー(ふーっ)を見ると、
同好の士があまりいないようで。

 寒村の老舗(?)のレディースの族名を「エドワード」という。中心部が
郊外に移り、寂れてしまった駅前の立体駐車場「エドワード」に屯している
からだ。これはスティングなどが出ていた「さらば青春の光」的テディボーイ
に即した命名だと思う。ストーリーへの漫画や何かからの影響は、漫画を知ら
ないので解らないけれど、「エドワード」は当たっているのではないかしら?

<「私の男」をただの結婚詐欺の物語とけなしたあの林真理子が桜庭一樹は
 やっぱりこの程度かと陰で笑っているようで腹が立つ。二晩ぐらい徹夜して
 読んでしまうような小説はもう書けないのか。>と、愛し過ぎる故の怒りの
レヴューがあったが、ばかばかしい話ではいけないのかなあ?

 それに、なに、林真理子? 「ファム・ファタール」を「ファム・メタール」
と覚えていた女流作家でしょ?

 病院の待合室に「週刊朝日」(だったと思う)があり、林真理子がホステスを
務めるページがあった。新人作家がゲストに呼ばれ、彼女が感想を述べるとき、
「あのヒロインの『ファム・メタール』ぶりがよかった」と言う。
 作家も編集者も、一瞬沈黙に陥り、編集者か誰かがおずおずと、「あのー、
それは『ファム・ファタール』ではないでしょうか?」と口を挟む状況説明箇所
があった。

 作家は言葉を道具にする職業だ。誰だってミスはあるけれど、こういう間違いは
普通、恥ずかしがって、ページから削除してくれるよう編集担当者に頼まないかしら? 
それとも林真理子は、このミスは彼女のファン層には影響しないし、むしろ愛嬌として
使えるから、そのままにしようと計算したのだろうか? そうとでも考えないとこの
箇所を残した理由がわからないのだが。
 で、そういう女流作家が直木賞や何かの選考委員をしている日本の大衆文学状況、
というのがミステリアスなのよ。ま、わたしはあまり大衆性が理解できない質なのだ
けれど。





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by byogakudo | 2014-06-25 20:18 | 読書ノート | Comments(0)


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