猫額洞の日々

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2014年 07月 18日

ローレンス・ブロック「泥棒はライ麦畑で追いかける」読了

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 久しぶりに泥棒バーニイ・シリーズに戻る。タイトル(原題" THE
BURGLAR IN THE RYE ") から想像するに、広いライ麦畑の端と端
からマット・スカダーとバーニイ・ローデンバーが歩いてきて、真ん中で
すれ違う物語も書けそうだが、そうはならず素直にサリンジャー・モード
である。バーニイ・ワールドではサリンジャーではなく、ガリヴァー・
フェアボーンという。綴りはわからないけれど、いかにもフィクショナル
かつ立派なひとって響き。

 1983年刊の5作目「泥棒は抽象画を描く」で読むのが止まっていたが、
94年に第6作「野球カード」、95年7作目「ボガート」、97年8作目
「図書室」、そして99年、9作目である本書だ。バーニイはもちろん、
登場人物全員、17歳で(早熟な少女なら14歳で)ガリヴァー・フェア
ボーンの「ノーボディズ・ベイビー」に人生を変えられた体験をもつ。

 プライヴァシーを重んじる作家、ガリヴァー・フェアボーンなのに、
かつてのエージェントが彼からの手紙をオークションに出すと決め、
もうサザビーズと契約を交わしてしまった。少女の頃フェアボーンと
つき合いがあった女性作家は、フェアボーンのために手紙を盗み出して
くれとバーニイに頼み、バーニイも彼に敬意を表するため、引受ける。

 世界一のフェアボーン・コレクター(フェアボーンの剥製だって
欲しがるだろう)や世界一のフェアボーン研究者、そしてガリヴァー・
フェアボーンそのひとまで、ニューヨークの一隅「バーネガット書店」
に集合し、手紙の行方を、またはその破棄を見守る。フェアボーンは
変装して登場。ほとんど顔が知られていないのに変装する必要がある
かなあ。フィクションへの意志が肉体にまで及んだ、ということか?

 いつものように楽しいシリーズだったが、ますます古本と猫の物語化
が進行していて、いまや「バーネガット書店」の店内には元牡のマンクス、
その名もラッフルズが住み込んでいる。いつから登場してるんだろう?
猫砂を使わず、ヒトのトイレで用を足す猫である。

 特筆すべきは、バーニイの心友、レズビアンのキャロリンが、現在の
恋人の影響で酒を控え、髪が少し伸び、口紅をつけ、香水も漂ってきた
ことだ!

     (HPB 2001初 帯 VJ)





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by byogakudo | 2014-07-18 20:10 | 読書ノート | Comments(0)


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