2014年 07月 26日

ギルバート・アデア「ドリーマーズ」読了

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~07月25日より続く

 ギルバート・アデア週間第三弾、最後に読んだこれ、「ドリーマーズ」
がいちばん好きか。どう変えられたか知りたいので、原型「聖なる子供
たち」もついでに訳してもらえれば、と思うけれど、作者が絶版にした
まま亡くなってるので、翻訳権は取れないだろうか。

 1968年の「恐るべき子供たち」なので、アパルトマンに閉じこもる
生活の描写がアクテュアルっていうのか、作者は主人公たちの生活を
遠慮なく暴く。率直である、というのがまあ、20世紀末、21世紀
初めの美意識ではあるが。

 リセに通う17歳の二卵性双生児は、詩人の父親が母と別荘に行って
いる一ヶ月間、アメリカ人青年(大学1年生、18歳)を誘って三人で
暮らす。兄と妹は近親相姦だし、アメリカ人はバイセクシュアルだ。
 三人の性交の描写はまだしも直接性を遠ざける傾向があるが、生活
ぶりの描き方は具体性に徹しようとする。昼間もカーテンを下ろした
室内で、身ぶりや扮装から映画のタイトルと監督名、製作年を答える
ゲームに耽ってばかりで、入浴しない、食べた食器を洗わない、買い物
にも出なくなって腐ったものを食べて、三人で便所に殺到する。

 1929年の「恐るべき子供たち」では、ダルジュロスから贈られてきた
第二の雪玉である毒薬が聖なる三角形を崩壊させる。1968年版では、

< そのとき突然、まるでピーター・パンのように、街が窓から流れ
 込んできた。
  下から投げられた敷石のかけらが、ガシャンという音をたてて
 寝室に飛び込んだのだ。ガラスの破片がベットの上に散らばった。
 石はレコード・プレーヤーに当たり、トレネのレコードが粉々に砕けた。>
(p129)

 カーテンの外では五月が進行していたのだ。三人はようやく服を身につけ
外に出る。

 失われてしまった時への哀惜が素直に出ていて__これにも多少、知的な
作風であらねば、という自意識が感じられなくもないが、「ラブ&デス」や
「作者の死」に比べればおとなしいものだ。__、いいじゃない。

     (白水社 2004初 帯 J) 

07月27日に続く?





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by byogakudo | 2014-07-26 21:06 | 読書ノート | Comments(0)


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