猫額洞の日々

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2014年 08月 06日

ローレンス・ブロック「泥棒は野球カードを集める」読了

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 こうなったら日本語訳で読める限り読まなくっちゃ(短篇にまでは
行き着かないかもしれない)のローレンス・ブロックだ。泥棒バーニイ・
シリーズをまず制覇しよう。

 あまぞんと日本の古本屋を開いて、ひとり価格コムしながらチェック
する(自分でも出品してきたので、本のコンディション説明欄の解読
能力はある、と思う。眼光紙背のweb版はなんて言えばいいのか?)。
 値段が安いものから注文してきたので、あとは高い本しか残ってない。
高い、といっても、送料込みでラーク一箱分以下が1冊、2冊でラーク
3・7個分の合計3冊をラーク換算すれば、ラーク4・6個分だ。今週は
BOの108円1冊もあるから、正しい数字はラーク4・9個分。
 一箱420円のラークを毎日吸っていたのだから(まだ、あと2日分ある)
と、自分で自分を納得させる、ラーク・スタンダードな家庭経済だ。自分
はごまかせても他人を説得できる、とは思わない。
 散歩する体力があれば、町の古本屋の均一台やBOの108円棚を探し
まわるのにな。

 10年余りストップしていた泥棒バーニイ・シリーズの記念すべき再開で
あるが、いきなりヤな客がバーネガット書店のレジにやってくる。たんに
読者としても腹が立ち、元・古本屋の現・読者としてはもっと腹が立ち、
現・古本屋で読者だったら腹が煮えくり返るような、なんというか横柄な
男で、しかも古本屋の家賃を1200パーセントも値上げしようとしている、
悪徳大家だ。

 本を買ってくれるなら、どんなにヤな奴でもそれは客であるし、買って
くれなくて立ち読みするだけでも客である。

<[略]店にはたえず人が出入りしていた。その多くがただの立ち読み客
 だが、そんなことにはもうとっくに慣れていた。というより、立ち読み
 客は古本屋商売の一部なのだ。客との世間話もそうだ。その日も、[中略]
 ある客と熱のはいった議論になった。[中略]
 ありがたいことにその紳士は、店を出るまでに二百ドル近くつかって
 いってくれた。>(p129)

 だがしかし、あからさまに投資目的で買うぜと店主に宣言するような野郎
は、バーニイは否定する。奴は、数年後に20ドルの本が1000ドルに化ける
ような作品を見逃さないためにという理由でのみ、専門店に頼んで、女流
ミステリ作家の処女作は全部届けるようにさせている、そんな奴である。

< 「つまりおたくは投資にしか興味がないんだ」 
  「そのとおり。誰がこんなクズ本を読んだりするもんかね」
  私は男のクレジット・カードをカウンターの向こうに押しやった。それから
 [注:男の]運転免許証も。そうして小切手を取り上げ、半分にちぎり、さらに
 半分にちぎって言った。
  「出ていってくれ」>(p16)

 こういう本の敵は、もちろん、最終章の泥棒バーニイが名探偵バーニイに
変身する場面で、コテンパンな目に遭う。正義は貫かれるのがエンタテイン
メントのよいところ。この野郎の義兄に当たるのが、演劇や文化を真っ当に
パトロンする実業家(他の作品にも登場する)だけれど、彼の食えなさも
すばらしい。バーニイを演劇関係者だけのクラブに招待するが、

< 「上着が必要だとは申し上げたが、ネクタイも要ることは言い忘れて
 しまった。[中略]クロークに用意してある悪趣味な代物を、無理やりつけ
 させられてしまったんでしょ?」
  「自分のをしめてきたんですけど」
  「いや、とてもよくお似合いだ」と彼はよどみなく続けた。>(p284~285)
 彼はイギリス仕込みなのだろうか。

 そして、猫のラッフルズが鼠退治用の住み込み店員猫として雇われた
経緯が明らかになる。そこには心友キャロリンの陰謀が潜んでいたのだと、
相変わらず内容説明をしない感想文なので、粗筋が知りたければ、ぜひ
他のサイトをご覧ください。
 ひたすら余談を楽しむのがバーニイ・シリーズではないかしら?

     (ハヤカワ文庫 2000初 J)





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by byogakudo | 2014-08-06 14:42 | 読書ノート | Comments(0)


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