猫額洞の日々

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2014年 08月 11日

ローレンス・ブロック「泥棒は図書室で推理する」読了

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 写真は近所の猫さん。道の反対側にも二匹いた。近くに猫溜まりが
2、3カ所ある。白猫が主流のたまり場と、ここと、坂下。
 あとの2カ所はもしかしたら同一グループかもしれない。狭い地域
で区分けして棲んでいる。

 冬の終わりないし春の初めの候、古本屋兼泥棒のバーニイは店を
閉め、店員猫のラッフルズや心友・キャロリンと、ニューヨーク北部
のイギリス田舎家風ホテルに赴く。ほんとはイギリスのコージー・
ミステリな世界に憧れる女友だちを誘ったのだが、振られてしまった。

 振られたショックが酷すぎたせいなのか、しかしそれにしても
思い出になる筈の場所になぜ、たんに心友のわたしを誘う?と、
キャロリンに追求され、バーニイは白状する。ホテルの図書室には
チャンドラーがハメット宛に献辞を記して贈った「大いなる眠り」
初版本が残されている可能性が高いのだと。

 そんな大物ふたりが一堂に会するようなサイン入り初版本なら、
初版本にもサイン本にもあまり興味がないわたしでも見てみたい、
かな?  
 「泥棒は詩を口ずさむ」でキップリング作品のでっち上げの腕前
を披露したように、今回も山田風太郎の明治ものみたいな大風呂敷
な可能性の翼を広げ、稀覯本の存在の傍証まで添えられる。

 いよいよ、かつての古きよき英国を保存したかのようなホテル、
カトルフォード・ハウスに着く。建物がイギリス田舎家風であるだけ
ではない。オーナーもスタッフも客も、みんな英国コージー・ミステリ
の世界からやってきたみたい。くつろいだ雰囲気、すばらしいお酒の
ストック、おいしい料理。いうことのない最高の休暇になりそうだが
しかし、バーニイたちの到着直後、その日最後の客は、バーニイを
振った彼女とその新婚の夫である。なんてこと...。

 そして大雪が続き、ホテルが外界から切り離される。食糧もお酒も
十分にあるけれど、閉ざされたホテル内で次々に殺人事件が起こり、
バーニイたち・物語全体が英国コージー・ミステリ世界に突入する。
 といっても時代が時代であり、バーニイたちがバーニイたちであり、
目的のブツがハードボイルドの聖典であるので、英国コージー・ミステリ
では決して描かれない、人目を忍んで隠れているときのトイレット行きの
問題もしっかりと描かれる。厠文学はもはや日本文学の伝統のみに留まら
ないのだ。
 調子がよくって、いい間違いの名人、レイ・カーシュマン刑事の機械
仕掛けの神的登場シーンあり!

 あーあ、これで泥棒バーニイ・シリーズ、読み終わっちゃった。
次はマット・スカダー・シリーズ制覇である。

     (HPB 2000初 帯 VJ)





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by byogakudo | 2014-08-11 15:47 | 読書ノート | Comments(0)


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