2014年 08月 31日

ローレンス・ブロック「死者の長い列」読了

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~08月30日より続く

 物語も面白かったけれど、法月綸太郎による解説が面白い。
マット・スカダー・シリーズは共和党政権期に、泥棒バーニイ・
シリーズは民主党政権期に集中している、という指摘である。

<レーガン時代に発表された『暗闇にひと突き』『八百万の
 死にざま』『聖なる酒場の挽歌』の三作>で、
<アル中のネクラ探偵というイメージが定着>し、

<酒との壮絶な闘いが一段落した後、ブッシュ(父)が大統領に
 就任した一九八九年には、スカダーの影の分身(ダーク・ハーフ)
 というべきミック・バルーがシリーズに参入。ブッシュの在任
 期間中、矢継ぎ早に発表された「倒錯三部作」で、暴力的要素
 が頂点に達したというのも、なにやら意味深ではないか。>(p504)

 日本は政権交代しない民主主義国家(!)だから、ずるずると時代の
空気を引きずって、その年々のミステリなり純文学なりが書かれている
のかしら? 新刊小説を読んでないので、何ともいえないが。

 で、法月綸太郎によれば「死者の長い列」は、レックス・スタウト「腰ぬけ
連盟」が念頭にあるのだろう、と。「腰ぬけ連盟」、むかし読んでいるような
いないような...。レックス・スタウトは感じがよいのに、どんな話だったか、
すぐ忘れてしまう。
 また、法月綸太郎によればハヤカワ・ミステリ文庫版「泥棒は抽象画を描く』
の杉江松恋・解説に、
<ブロックがスタウトから受け継いだ「本格DNA」>(P506)
について詳しく書かれているそうなので、どこかでハヤカワ・ミステリ文庫版
を見つけたら買っておくこと!

 全31名のクラブがある。会員は毎年一度、全員で集まり、近況を報告し合う。
物故者が出ても、最後のひとりになるまで補充しない。最後の生き残りになって
ようやく、次世代の30人を指名し、会を存続させるのだが、この会の死亡率が
やたらと高いことに気づいた会員が、マット・スカダーに調査を頼む。

 男だけの閉鎖的なクラブ__家族もほとんどクラブのことを知らない__
なので、内部の誰かの手が加わっているのか__しかし連続殺人にしては
期間が長過ぎる__、偶然に過ぎないのか、真相が知りたい、と。

 マットから話を聞いたエレインが、トンティン(トンチン)みたいと言うの
だが、トンチンと違い、最後の生き残りが全年金を手にすることはない。最後
まで生きた会員の権利は、死者の名前を読み上げ、哀悼の意を表し、新規会員
を選ぶ、それだけだ。

 本格ミステリでありニューヨーク風景であり、マットとエレイン(+もうひとり)
の恋愛話でもあり、すべてが渾然とひとつのおいしいスープとして味わえる。

     (二見文庫 2005再 J)

[同日追記]
 2007年07月10日付け当ブログによれば、「腰ぬけ連盟」、読んでます。

09月01日に続く?~





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by byogakudo | 2014-08-31 15:47 | 読書ノート | Comments(0)


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