2014年 09月 01日

ローレンス・ブロック「処刑宣告」1/4(+「死者の長い列」)

e0030187_10135621.jpg












~08月31日の続き?

 謎解き本格ミステリ風のマット・スカダー・シリーズが続く。でも、物語の
細部に惹かれる質なので、そちらの方を書き出しておこう。

 前作「死者の長い列」の最終章でついに、マットとエレインは結婚する。
その前に、エレインはすでに娼婦を止めていた。彼女は投資用の不動産を
いくつか持っていて、とっくにその収入で暮していたのだが、これまでの住居
(兼仕事場)を処分して新しいアパートメントを買い、マットと暮らし始める。
購入資金はすべて彼女持ちである。ふたりの経済状態に差があるので。

< 私のほうはアパートメントの月々の管理費を払い、外で食事をしたときには
 勘定を持つことにしている。電気代やガス代は彼女が払っている。金について
 はいずれ垣根を取り払うことになるかもしれないが、今はまだそこまでは行って
 いない。>(p62)

 マットが長年住んでいるホテルの狭い部屋は、家賃統制が適用されている
ので、まだ持っている。オフィスといえるほどの部屋でなくとも、長くひとり
暮らしを続けてきた男女が、いきなり全面的にライフスタイルを変えるのは
無理だ。ホテルと新居は近くにある。

 エレインは<画廊と骨董屋の中間のような>店を始める。アートというより
<居間の壁に掛けたり、コーヒー・テーブルの上に置いたりするために>
彼女がそれまでに集めてきた美術品を、預けていた貸し倉庫から出し、
これらの在庫を出発点として、いわゆる画廊を始めた。
 そして、"民芸作品"という訳になっているが、救世軍や中古品店で安く
売られているフォーク・アートを選び出し、ちゃんと額縁に収め、10ドルの
絵を300から500ドルの価値に変身させる。彼女の商才は不動産投資だけ
ではない。(p63~65)

 中年の男女が、一緒に暮らすことに少しずつ慣れる。「死者の長い列」
エンディングでは、マットはいよいよ正規の探偵許可証を取るつもりになり、
市役所で3分間の結婚式、その足で空港に行き、ロンドンとパリの新婚旅行
をする。
 ハードボイルドの探偵が幸福になったって、いいじゃないか。

     (「死者の長い列」 二見文庫 2005再 J)

 マットとエレインのその後の生活が知りたくて、「処刑宣告」の最終章を覗く。
もう謎解きは終わった辺りである、もちろん。
 8月に始まりクリスマスに終わる物語だが、クリスマス・ストーリーらしく終わる。
マットの助手としての地位を獲得した、42丁目育ちの黒人青年、TJへのクリスマス・
プレゼントの場面が泣かせる。薬の副作用で喜怒哀楽、すべてに過剰反応しやすい
時期に読むので、なおさらなのかしら。

     (「処刑宣告」 二見文庫 2005初 J)

09月02日に続く~





..... Ads by Excite ........
[PR]

by byogakudo | 2014-09-01 14:34 | 読書ノート | Comments(0)


<< ローレンス・ブロック「処刑宣告」読了      ローレンス・ブロック「死者の長... >>