2014年 09月 04日

ローレンス・ブロック「皆殺し」読了

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 名探偵在るところ殺人事件在り。ミステリ・ファン以外の読者は、みんな
そう思っているかもしれないが、ミステリ・ファンだって薄々感じている。
口に出さないだけで。特に本格ミステリと称されるジャンルでは、ポワロ
なんぞが呼ばれなかったら、こんなに殺人事件が増えなかったのではないか、
と思われる展開がしばしばである。

 事情はハードボイルド・ミステリにも越境して、「皆殺し」に於いては、
マット・スカダーの友人・知人であったが故に殺されたり負傷したりする
人々のオン・パレードである。

 この回ではないが、今の妻・エレインも、マットの恋人だったおかげで
異常者につけ狙われ、殺されかけた。結婚後もつき合っていたリサが今回
殺されたのも、マットが行きつけの酒場に顔を出したりするからである。
義理の息子みたようになった黒人青年・TJも、マットに同行して負傷する。

 マット・スカダーはかくも疫病神なのである。マットと「グローガンの店」
オーナー、ミック・バルーがメインになると、暴力的な街がさらに暴力的に
なる。前2作が謎解き本格ミステリ(+ホームドラマ)調だったので変化を
つけたくなったのか?

 ハードボイルド・ミステリは一人称の視点で描かれるから、シリーズ終了
まで主人公を死なせてはならない。ミック・バルーはマット・スカダーのダーク
サイドを受け持つから、彼もまた生き残らなければならない。
 いちいち要素を分解したって、物語がもっと面白くなるって訳ではないけれど。

     (二見文庫 2006初 J)





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by byogakudo | 2014-09-04 20:40 | 読書ノート | Comments(0)


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