2014年 09月 27日

猪野健治「日本の右翼」をまだ諦めてない

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 基礎知識がないからちゃんと読めないのだと分かってるけれど、
なんだかシャクだからまだ諦めずに時々読んでいる。

 『津久井龍雄 叛骨・異端の人』は、わりと興味の持てる人みたいだ。
「一人一党」の傾向の強い右翼をまとめようとして失敗し、左右両方の
人々が、彼の出版記念会に集うような人。

 津久井龍雄には論理性が認められる。
 再軍備反対の論拠第一に、
<占領軍が押しつけた"占領憲法"であっても、それが有効な間はこれを
 遵守しなければ、国自らが法の尊厳を破ることになる。>
 第二に、
<新憲法下での再軍備は、占領体制の軍事的延長にすぎない[以下略]。
 装備面だけ強化された自衛隊は、[中略]米軍の補助部隊ないしは
 隷属的性格から脱しきれない。>
 第三に、
<真の国軍を編成するには憲法改正しかない[略]。
 交戦権を放棄した軍隊は存在の必要がない。>(p297~298)

 憲法改正を取りつける自信がないから、安易な方法で実質、改変した
安倍晋三は右翼ですらなく、なんだろう、あれは? 総理の座にあるこの
機会を利用して、個人的なルサンチマンを満たそうとする男か。
 と書いたところで、右翼と呼ばれる連中に総じて感じられるのが"個人的な
ルサンチマン"だ。私生活で満たされなかった自我を国家規模に投影して
満たそうとする衝動。大きな言葉で装飾すれば、ちっぽけなエゴの充足も
国家の意思に見せかけられる、という幻想。
 その意味では安倍晋三は、そこらによくいる右翼である。甘ったれた、
論理性皆無の。

 昭和が平成に変わって間もないころのインタヴューで津久井龍雄は、
< 率直に言って昭和天皇は、それほど優秀ではなかったと思う。戦争が
 終わったときに退位されて、皇太子を摂政にされたらよかった。
 [中略]
 そうすれば今ごろ戦争責任問題なんて出て来ない。>(p307~308)

 新右翼の平成維新について、
<おそらく実ることはない[以下略]。一水会あたりでも天皇を讃美している
 ようだけれども、いかにもとってつけたようで一般の人にはその心理的な
 過程はわかりませんよ。
 [中略]
 ただ共産党が政権をとっても(あり得ないことだが)、天皇があった方が
 便利だから、あるいは残すかもしれない。しかしそれは[中略]
 アメリカが天皇制を残しておいたのと同じ意味です。>

 象徴天皇制は天皇機関説そのままだという猪野健治の意見に対して、
< その通りだね。しかし日本だって天皇が実権を持ったのは明治以来
 だから。[中略]
 源頼朝以来は幕府をつくっちゃって政治はそこがやってきたんだから。
 そのくせ天皇をいつも悪い方に、自分の都合のいいように利用して
 もっともらしく天皇に忠義だてを言っている。>(p309)

 冷静な視線で、右翼に(同じく左翼にも)絶望している点がまともだ。

     (ちくま文庫 2007年5刷 J)

 丹生谷貴志氏の今日付けツイッターより__
<いつも熱狂していたいという焦慮にあるものたちは要は「国家」を渇望する・・・。> 





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by byogakudo | 2014-09-27 20:07 | 読書ノート | Comments(0)


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