2014年 10月 02日

はや四ヶ月余

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 5月14日午後に入院して16日から注射や投薬の治療が始まった。
心身の変調に翻弄されながら、もう4ヶ月以上過ぎた。早いものだ。

 最初の話では、治療を始めて2ヶ月かけて徐々に体力が落ち、3ヶ月
で大体、ふだんの体力の6、7割のところに落ち着く。それで底値安定
すると言われた。やってみた本人の実感としては、3ヶ月ではまだ底値
に至らない、4ヶ月目で底値到達の感じである。体力的にはふだんの
4、5割くらいか?

 平均値はどんな場合でも、個々に当てはめるとズレが目立つ。もう少し
若かったら、もう少し軽い副作用だったかもしれないし、やってみないと、
どんな副作用が出るかも明言できない。わたしは今のところ、髪の毛は
あまり抜けないし、口内炎にも悩まされていない。今のところ、である。
この先は分からない。

 心身への副作用は、身体ではもっぱら皮膚疾患(と最初からの息切れ)、
心へは怒りっぽさ(!)として現れる。毎日かゆみに悩まされ、朝晩、
かきむしってひりひりする痕に薬を塗る。抗アレルギー薬を欠かさず飲んで
いても、最初のかゆみは治療を始めて3週間もすると顕著になった。年齢の
せいで毎冬、寒冷蕁麻疹症状に悩まされているが、あんなものじゃない。
 猛烈なかゆさにくたびれる。投薬量を一時減らしたので、一旦は治まり
かけていたのだが。

 体力的な問題で、注射量はふつうの半分、投薬量は1/3だったが、かゆみが
治まっていたひと月前に投薬量を2/3に増やされた。一日3錠飲むのを1錠に
した後で2錠になったその途端、増量3日目にして、一度は静まっていたかゆみ
が再発、以前に増したかゆさに襲われた。人生が猛烈なかゆさで覆われ、仕事は
朝晩の薬を塗ることに集約されているような苦痛だ。(現在はまた薬を減らした
ので、治まりつつあるが。)

 実際、ほとんど何もできない、と言っていい。週に一度、Mercure に行って
Mer-de-cure して帰ってくる。午後はぐったりして、ときには昏々と眠る。

 毎晩、寝る前に流しと洗面台を洗う。一日おきにお風呂のお湯を使って洗濯し、
その後、風呂水用ホースや浴槽の手入れをする(お風呂の蓋を裏表洗う元気や、
浴室の床を洗うところまで達せない)。週に二、三度ゴミを捨てる(ゴミバケツを
洗う元気がほとんど出ない)。これらが、今、できること。

 さっき久しぶりに帚と掃除機でダイニングキッチンの床だけ掃除した。
 Mer-de-cure 以前、わたしは起きるなりハタキ2種類を手に、天井と壁面の
境を払うことから掃除を始めていた。次いで帚と掃除機で床を、幅木をハタく
ことも忘れない。40分かけて朝の掃除を終わり、目が覚めきったところで紅茶
と朝食、そして店に向かう。
 毎朝、これをやっていたので大掃除の必要もなかった。

 今は掃除も S 任せ。彼がときどき掃除機をかける。S は腰が悪いので、わたしの
ような、お掃除・馬鹿丁寧ヴァージョンを期待してはいけない。それは分かっている
のだけれど、もうひとつの副作用、怒りっぽいというのがあって、さっきは、掃除
しながら怒りと絶望に駆られていた。床が丸く掃かれている...!
 比喩や冗談じゃなく、ほんとに怒り狂い絶望する。一緒に生活するのは無理では
ないか、とまで、その瞬間は一気に思い詰める。

 わたしはそれほど神経質でも完璧主義でもないが、ときにそれに傾くことがある。
傾かないと、何もしない、無頓着な方向に行ったきりだが、完璧主義に振り子がある
とき、それは能う限りの完璧さを純粋に追求しようとするので厄介だ。
 完璧にやり遂げたいのにできないから絶望する。たかがお掃除ができないだけで
生きているのが苦痛になる。

 治療が終わってしばらくすれば、かゆみも治まり、怒りっぽさも憑き物が
落ちるように消える、と言われているので、それが今の希望である。もう一息か
二息(ふつうは半年で1クールだが、投薬量を減らしているので延びる可能性
あり)、もうちょっとの辛抱だと分かっていて、それでも蓄積する疲労に疲れた。
 それに、わたしの場合、Mer-de-cure だけでは一件落着しない。続編がある。
そうなってから考えればいい、悩めばいいと頭では理解していても、冷静で快活で
いるのが、なかなか難しい。気難しくて鬱陶しい顔をした病人であるときのほうが、
今では多いかもしれない。毎日、仏頂面に直面する S が無事でいてくれれば、
と願う。
 病人とつき合ってて自分のペースを守るのは、医者なら相手は患者だと認識して
距離が持てても、一緒に生活してきた相手が病人ステージにいるのだと了解して
暮すのは、とても困難なことだ。

 まあ、怒りっぽさにも使いようはある。義母宅にしつこく湯沸かし器を点検させろ
と電話がかかり、遂には点検道具が入っているらしいバケツを抱えて、男がやって
きた。現れたら連絡くださいと義母に言っていたので、早速、怒鳴り込み部隊登場
である。こんな気違いがいるところに二度と来るものかと思わせるくらいの怒鳴り方
をした、と思う。何にでも使い道はあるのだ。





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by byogakudo | 2014-10-02 20:33 | 雑録 | Comments(0)


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