2014年 10月 25日

ローレンス・ブロック「緑のハートをもつ女」読了

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~10月24日より続く

 これ、すてき! こぶりで、力作じゃなくて、犯罪は引き合わなくて、
再開した詐欺行為の魅力に惹かれて続けてしまう、中年の男。
 生きることは何かに中毒しながら生き延びることだ。お金、政治、
権力、仕事、女(男)、ギャンブル、ドラッグ...生きるためのアリバイ。

 ひとりの土地成金を引っかけるために周到に準備し、機が熟すまで
じっと待ち続ける、丁寧な仕事ぶり。舞台が整い、主役である被害者
登場、というところで、すべてが終わる。カードの家が崩れるように。
 成功しても失敗しても、後始末をしなければならない。カードを一枚
一枚、拾い上げ、詐欺の舞台装置の痕跡を、被害者と加害者の接点を
消して廻る、地味で堅実なプロセス。

 90分以内の映画にしたら良さそうな気もするが、詐欺の細かい準備
段階、撤退作業の細目など、本で読むからこそ面白いシーンだ。映画
だとアプローチを変えなければならない。頭の中でキャスティングを
考えるくらいにしよう。
 でも、今どきの女優で、あの悪女役がいるかしら? 男優はいくらでも
いそうだが、この手の役はすぐニコール・キッドマンとかに割り振られて
つまらない。彼女とキルスティン・ダンストが、映画を寂しく貧しいもの
にした張本人だと思っているのだが。

     (ローレンス・ブロック/田口俊樹 訳「緑のハートをもつ女」
     創元推理文庫 1990初 帯 J)





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by byogakudo | 2014-10-25 17:45 | 読書ノート | Comments(0)


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