2014年 11月 10日

ジャネット・フラナー「パリ点描 1925-1939」を読み始める

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 先週、伊呂波文庫で見つけた1冊。タイトルを見て、ちらりと中を読んで、
たぶん面白い。もう1冊、石川喬司「エーゲ海の殺人」は、「字が小さいよ」
と伊呂波文庫・清水氏に注意されつつも選ぶ。安直・老眼鏡を持ってるから
大丈夫。

 ジャネット・フラナー「パリ点描 1925-1939」は、エリオット・ポールと同じ
時代をパリで過ごした、アメリカ人女性ジャーナリストのコラムを編集したもの。
創刊されたばかりの『ニューヨーカー』に1925年9月から隔月連載された『パリ
便り』というコラムで、
<編集長のハロルド・ロスから特に指示されたのはただひとつ、知りたいのは、
 フランスで今何が起きているとフランス人が思っているかであって、わたしの
 見方ではないということだった。>(p37~38)

 雑誌自体のスタイルもまだ決まらず、彼女の文体も決まらぬまま始まった
コラムだが、ジャネット・フラナーは、
<わたしのスタイルは、本能的に、批評の刃(やいば)、それもできれば両刃
 (もろは)で論評する傾向があった。批評というのは、書き手の心のいわば
 個人的な考え方や傾向がはっきり表れていなければ読者を納得させることが
 できない。
 [中略]
 わたしにわかっていたのは、とにかく正確で、きわめて個人的で、生彩があり、
 自分の目で見て描写した記事でなければならない[以下略]>(p38)
と考え、フランスの新聞報道にソースを求めながら、見聞きした事柄について
書いた。
 コラムニスト文体(?)が苦手で__だって、気の利いたことを言わなきゃ、
という使命感に燃えてる書き手が多いジャンルに思える__、やや懸念していた
が、正直であろうとするジャネット・フラナーの姿勢のおかげで、今のところ
無事に読み進めている。

 そうそう、本の中にはあちこちに躓きの石が潜んでいることを読者に知らしめる
丹生谷貴志氏のツイッターだが、11月3日のジョイスの件りが好きだ。
<同じことを書いた記憶がありますが、例えばジョイスの翻訳の腹帯、「喜べ!」
 とか書いた上に「ジョイス!」というルビが付いた誰ぞのダジャレは有名で、以来
 僕にはジョイスの名が「ジェイムズ、嬉シイッス!」ってニイちゃん言葉に見えて、
 立ち直れず、邦訳で『ユリシーズ』を読むのを諦めたのでした。>
(https://twitter.com/cbfn/status/529173156238344192)

 ジョイスといえば、シルヴィア・ビーチのシェイクスピア・アンド・カンパニー
書店で、あれも、すてきな本だった!
 『はじめに』と題された長めの前書きにも出てくるが、「ユリシーズ」出版に献身
したシルヴィア・ビーチに対して、ジェイムズ・ジョイスが何ひとつ報いなかった
ことを、ジャネット・フラナーは精確に書き記す。ビーチ自身は何も語らないが、
本人が語らなかったからだろうか、ジャネット・フラナーが却って義憤に駆られて
いるように感じられる。

 「ユリシーズ」刊行を熱狂的に待ち望む、当時の若い人々の様子を読むと、それは、
"No New York"LPを手に入れて熱中して聴きまくる、当時の若い衆みたようなもの
だったのだろうか。Pope of Punk なジェイムズ・ジョイスの肖像。
< 今『ユリシーズ』を、五〇年前のわたしたちに劣らない勢いをもって、一語一語、
 最後まで読み通せる人がいるだろうか。とても無理だと思う。>(p24)
 「ユリシーズ」、たぶん読まずに死にそうだが...。

     (ジャネット・フラナー/吉岡晶子 訳「パリ点描 1925-1939」
     講談社学術文庫 2003初 帯 J)

11月11日に続く~

 明日はジェフ・リー+川端一 and EP-4 unitP+勝野タカシ
 東京公演は、なし?





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by byogakudo | 2014-11-10 19:10 | 読書ノート | Comments(2)
Commented by ジャコモ・リゴー at 2014-11-11 00:23 x
僕はユリシーズ読みましたよ。
翻訳でですが。
いい本です。
いまでも好んでぱらぱら見たりします。
喜ばしきおっさん。joie joie joie
Commented by byogakudo at 2014-11-11 13:42
うーん、読んでから死ぬとして、高松雄一・丸谷才一 訳が
入手しやすく読みやすいでしょうか、岩波文庫版より?
何をもって「読みやすい」とするかの問題はさておき。


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