2014年 12月 03日
~12月01日より続く 短篇小説ってダイジェストが難しい。読者をいかにして、どこへ 連れて行くかの過程を楽しむ小説だから、ストーリーに沿って要約 すると、楽しみが少なくとも半減する。(ちがう角度を発明しなくっちゃ、 と思うけれど、いま、思いつかない。) だから、いちばん好きな『いつかテディ・ベアを』(田口俊樹 訳)の 物語を書くわけにはいかない。都会に暮す独身者の心情やライフ・ スタイルが描かれてるだけ、という言い方をしてしまうが、そこに つけ加えられた味つけが、やや風変わり(とまでもいかないくらいの、 ちょっとした味つけ)なので、人情スケッチに終わらず、街そのものの スケッチになる。 主人公が映画評論家というところで、まずノッた。デートするのも、観客が スクリーンに集中する試写室だ。映画館で見るのもいいじゃないかと思うが、 主人公は、お喋りや映画のストーリーを話す声が聞こえてくると駄目らしい。 まあ、わたしも腹を立てるが。 男も女もひとりで暮らし、ときに出会うが、どちらも生存の必要条件が独身 生活ではないかと思われる出会い方、暮し方だ。もし結婚に至ったとしても、 別居しながら結婚するか、少なくとも一方は独身者の部屋をキープし続ける のではないか、そう、マット・スカダーとエレインの結婚当初のように、と 思わせる関係だ。 街の物語以外に、奇妙な味やホラー傾向の強い短篇がある。これらはどうも、 ニューヨーク以外の田舎や地方都市が舞台になっているようだ。 古風な名探偵もの(本格ミステリ・タッチ)、弁護士・エイレングラフの 短篇も街(ニューヨーク)が舞台に思われる。事件を象徴するかのような詩を 暗唱する癖のある弁護士だ。 ファニーなおとぎ話『男がなさねばならぬこと』(芹澤恵 訳)も、好み。 (ローレンス・ブロック/田口俊樹・他 訳「ローレンス・ブロック傑作集 3 夜明けの光の中に」 ハヤカワ文庫 1997再 J)
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by byogakudo
| 2014-12-03 20:01
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