2014年 12月 06日

「ローレンス・ブロック傑作集 2 バランスが肝心」3/4

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~12月04日より続く

 短篇というより掌篇と呼ばれる、短いアイディア・ストーリーの類いは、
たとえローレンス・ブロック級であっても感心しないものだなと、改めて
思う。見て見ぬ振りをしながら着地点を目指すのがアイディア・ストーリー
の構造だから、その知らんぷりの仕草が自ずと着地点をそっと示すことに
なる。
 掌篇、コントはミステリよりも文学に向いたジャンル、書き方ではない
かしら。文学的コントなら着地点がどこであれ、ひと息のデッサンとして
成立するが、ミステリは結語が決まらないと書き出せない。

 今読んだ範囲(終わりの四篇と最初からの八篇)では、最終章『バッグ・
レディの死』(田口俊樹 訳)と第八章『人生の折り返し点』(山本やよい 訳)
が好みだ。第七章『それもまた立派な強請』(田口俊樹 訳)も、話の進み方が
妙でいい。これだって最後のヒネりが決めてのアイディア・ストーリーだが、
物語の背景を描く、充分な長さがあるので楽しめた。

 『人生の折り返し点』は要約するなら、ごく平凡な生活をしてきた男が、
ある日、自分が中年にさしかかったことに気づいてプッツンする、ありふれた
と言えばありふれた話だが、日本のTVや新聞で "心の闇" と、何の意味も持た
ない言葉で片づけられる話をドライ・ヒューマーで綴る、文体の勝利みたような
傑作になっている。書きっぷりのかっこよさを愛でる短篇だ。

     (ローレンス・ブロック/田口俊樹 他・訳 「ローレンス・ブロック傑作集 2
     バランスが肝心」 ハヤカワ文庫1993初 J)

12月08日に続く~





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by byogakudo | 2014-12-06 17:29 | 読書ノート | Comments(0)


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