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猫額洞の日々

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2014年 12月 08日

DVDで「ハウス・オブ・カード 野望の階段」を見始める

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 いつか見ようと思って忘れていたケヴィン・スペイシー主演のTV
ドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」を、最初の全6巻、借りて
きて、昨夜第1巻(3話)を見る。

 ケヴィン・スペイシーは野心家の下院議員。大統領に選ばれた暁には、
国務長官にするという約束(の筈)で、大統領候補・ウォーカーを応援
してきたのに、約束はホゴにされる。
 怒りに燃え、屈辱感に苛まれるケヴィン・スペイシーは自分を抑え、
陰険に復讐を誓い、着々と陰謀を繰り広げて行く、彼のイケズぶりを
楽しむドラマだ。

 マイケル・ケインの「アルフィー」を思い出したけれど、ドラマの
途中で、周囲の人々の動きはそのまま映しながら彼らの音声をオフ
にして、カメラに向かってケヴィン・スペイシーがモノローグする。
 主人公の視点に立った、一人称の映像といえる手法で、彼のイケズ
ぶりが強調される。

 彼の妻役が、ロビン・ライト。以前よりもっと痩せたような気が
するが、体形維持のために毎朝、ランニングを欠かさないシーンが
何度も出てきて、意志の強い、彼女のキャラクターを表すので、そう
感じるのかもしれない。
 下院議員の妻も野心家で、きれいな水を供給しようとするNPOを主宰
しているが、立ち上げ時からのスタッフを解雇したり、何やら画策して
いる様子。第1巻ではその内容までは分からない、ケヴィン・スペイシー
の陰謀を描くのに忙しいから。

 野心家がもうひとり。新聞社に勤める、若い女性記者だ。ケヴィン・
スペイシーからリークされた情報で記事を書き、一躍、名を売る。
無名の新人記者から、TV局からゲストに呼ばれたりするところまで
来た。
 ケヴィン・スペイシーと彼女、役名、ゾーイ・バーンズは、互いに相手
を利用し合う関係だが、彼女が最後にうっちゃりを食わすのではないかしら
と、3作見ただけなのに思ってしまう。連続ドラマは、いくらでも進行方向
を変えられる容器だから、早とちりしてはいけないが。

 制作費の潤沢さが感じられる、暗めで落ち着いた映像と出演者たちだ。
ハリウッドの低予算映画に出てくる役者の顔は大抵、主役からして、情け
なく貧相だが
__出世して高額予算の映画に抜擢されるようになると、顔がよくなる。
整形するのかもしれないが、自信が表情に出るのと、カメラワークや照明
技術のおかげだろう。__、
ゾーイ・バーンズ役の女優、ケイト・マーラのちんぴらな顔立ちは役柄に
ぴったりだ。彼女もドラマの進行に連れて、それなりにステイタスのある(?)
顔になるのだろうか? 

 役柄に沿った役者選びが的確で、安心して見ていられる。下院議員の
地元でトラブルが起き、忙しいのに地元対策に戻らなければならない
エピソードがあるが、十代の娘を自動車事故で失ったばかりのまだ若い
母親を、ケヴィン・スペイシーが慰める。この若い母親役が適役。キャラ
クターと演技力がぴったりだ。

 高校生のときは男の子から美人と騒がれたのだろうが、賢くもなく野心も
ない。卒業するかしないかの頃、そのときつき合っていた男と結婚し、今も
続いているようだが、娘の死のせいで離婚するかもしれないなあと、観客が
想像してしまうような、背景を感じさせる演技の幅があるのは、見ていて
ありがたい。

 だって、ビートたけし主演のTVドラマ「点と線」なんか、おそろしかった。
柳葉敏郎が高級官僚、夏川結衣がその妻だったが、前者が役人であることが
まず理解できず(役人ねえ...? 一所懸命演っているのは分かったが)、
夏川結衣と夫婦であるというのが審級が違い過ぎて理解できず、しかたない
から自分で彼らの背景を作り、無理やり納得して見ていた。

 夏川結衣が家付き娘で、柳葉敏郎はその一族と同郷の遠縁の男。
 柳葉敏郎は勉強ができるから(ということにしないと話が成立しない)
引き取られ、婿養子になった。あるいは書生から引き立てられて、石女の
せいで婚家から戻された夏川結衣を妻にして、婿養子となった。
 こうとでも解釈しないと成り立たない場面だった、と覚えているけれど。

 そういう余計な配慮をしないで見ていられるTVドラマだ。「ツイン・
ピークス」、「ライ・トゥ・ミー 嘘の瞬間」に続く、好みのTVドラマに
なるだろうか?





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by byogakudo | 2014-12-08 17:41 | 映画 | Comments(0)


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