猫額洞の日々

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2014年 12月 23日

筒井清建忠「時代劇映画の回想__ノスタルジーのゆくえ」半分ほど/下品ということ

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 『第一章 戦前の時代劇映画史』は、もっと飛ばして読むべきだった
かもしれない。タイトルは多少聞いたことがあっても馴染みのない__
そんなことをいえば、時代劇映画そのものを、あまり見ていないのだが
__映画の、しかも通史だから要点のみの記述になり、わくわくしながら
読むわけにいかない。

 がしかし、メインの『第二章 戦後の時代劇映画史』に入ると、俄然、
面白くなる。同じく見たことがない映画であっても、こちらの知識も
多少増えるから、イメージしやすくなる。

 面白くなる前の『第一章 1 時代劇の誕生 「松之助映画の功罪」』
からも引用する。
<「松之助映画」を主に受容したのは比較的年齢が低い層であり、
 ファンには丁稚勤めをせざるをえないような下層階級の人たちが
 多かったのである。
  逆にいうと、そのことによって、かなり長い期間にわたり、日本
 映画は外国映画に比べて低い階層の人が観るものだと認識される
 ようにもなっていった。
  例えば神戸では大正期から昭和初期にかけて映画館は、上流階級の
 行く"立派な洋画"の映画館と、下層階級の人が行く「目玉の松ちゃん」
 が出る"幼稚なチャンバラ映画"の映画館の二つにはっきりと分かれて
 いたとされる。したがって、インテリはあまり日本映画を観ないという
 風潮がマクロ的にはあったと思われる。>(p14~15)

 戦後、美空ひばりを下品といって退ける、プチブル的感受性の大もとか。

     (筒井清建忠「時代劇映画の回想__ノスタルジーのゆくえ」
     ウェッジ文庫 2008初 J)

12月24日に続く~

 話を飛ばす。下品、というのは近頃のTVニュース(いや、ニュースショー)
の編集態度みたようなことを表すのではないかしら。昨日、病院の待合室の
TVでひき逃げ事件を伝えていたが、ニュース映像に効果音を加える必要が
どこにあるだろう。ひとの不幸は蜜の味だから、ニュースソースをエンタ
テインメント加工して、どこが悪い?と、TV局側は考えるかもしれない
けれど、まちがってる。

 夕飯の支度をしながらニュースも見たい人のためにかもしれないが(字幕を
読むのに時間がかかる文盲対策だと、わたしはニラんでいるけれど)、外国人
が話したり、インタヴューの場面で、日本語吹き替えになる。吹き替え自体は
まだ認められても、吹き替えの口調、ニュアンスが問題だ。悪役は悪役声、
善良な被害者はおどおどした被害者声に吹き替えられ、居眠りしながら理解
できるTVドラマと同じ制作態度の、ベタな音声がつく。
 ニュース番組で映像が(撮れ)なかった場合、再現フィルムの出番で、
これも日本語吹き替えと同じ制作態度だ。視聴者すなわち消費者である。
消費者なんて甘やかしておけばいいと、TV局が馬鹿にしているからだろう。

 (大国側の言う)テロ容疑者に対するCIAの拷問のニュースのとき、NHK
TVのアナウンサーは専ら、CIAのブレナン長官側に立ち、「過酷な尋問」
(だったと思う。「行き過ぎた尋問」だったかもしれない)と発声していた/させ
られていた。東京新聞だと、「過酷な拷問」である。
 文字メディアと、直接的な映像や音声を伴うメディアでは、伝え方に違いが出る
とか何とかNHKはいうかもしれないが、これも安倍政権や政権の代弁者のひとり
である楺井勝人NHK会長に対して萎縮しているからだろう。

 話をもっと飛ばして。アーティスト・ろくでなし子の二度目の逮捕について、
TVではどう伝えているのだろう。伝えないかもしれないが。
 女は黙っておとなしく男の性的対象として存在してればいい、男性週刊誌で
陰毛の見えるヌード写真のモデルをするのも、すでに許容範囲だ。
 だが、自分から性を全面に打ち出す表現をするどころか、その延長上に男社会
批判までするのは、国家的に許し難い行為だ。黙らせるためには再逮捕でも再々
逮捕でも何でもやる、ということでしょう。

 わたしは直接的な表現はあまり好まない。3Dプリンタ用のデータ、というのも
あまり面白いとは思わない。
 けれども表現の自由は、すべての表現に於いて、留保なしに存在する。ロバート・
メイプルソープと加納典明とイリナ・イオネスコと天野可淡と、ろくでなし子は、
表現行為の上で同一線上に立つ。彼女の即時解放を求める。





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by byogakudo | 2014-12-23 15:22 | 読書ノート | Comments(0)


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