2014年 12月 24日

筒井清建忠「時代劇映画の回想__ノスタルジーのゆくえ」読了

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~12月23日から続く

 この三倍くらいのヴォリュームで書かれていたらなあ。

 何か知りたいとき、新書版で概説を読みアウトラインを知ってから、
より詳しく書かれた本を読むことをするが、この本も概説書である。
物足りなさは否めない。著者の思想的立場が戦後民主主義肯定にある
ことは分かったが、ページ数の関係で語り口が性急なので納得にまで
行かない。性急というか、説明抜きにいきなり著者の立場が述べられる
ので、納得しにくいのだ。

 時代劇映画を社会学的に考察する本に、いわゆる映画本の狂熱的
喜び、山田宏一や柳下毅一郎たちの本に見られる熱狂を求めるのが
間違っているといえば間違ってるので、タイトに切り詰められた
能率を賞味するしかないか...。

 かつて大衆が自己確認する鏡であった浪花節と似たような前提__
近代化の落ちこぼれであるという自覚__を時代劇映画は持つが、
近代化の果てに、過去との断絶は広がるままである。

<最近、学生に『忠臣蔵』をビデオで見せたところ、予期せぬ質問に
 あい説明に窮したものである。討ち入りした後で四十七士が泉岳寺に
 向かって歩いている場面について「あの団体はあれからどこに行くん
 ですか? 赤穂という所ですか?」と聞かれたのである。若い世代には
 時代劇を観るための基本的な前提としての知識がすでに失われてしまって
 いるのである。
  前章で述べたように、幼時からマンションの中で成長した若者に
 とって、[中略]
 時代劇は、「外国映画以上に遠い」存在となってきているのである。>
(『エピローグ 時代劇映画の危機』 p186~187)

 わたしも四十七士の気が知れないクチだが、「赤穂という所」に戻る
のか、とは尋ねない。

     (筒井清建忠「時代劇映画の回想__ノスタルジーのゆくえ」
     ウェッジ文庫 2008初 J)

12月25日に続く~





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by byogakudo | 2014-12-24 20:45 | 読書ノート | Comments(0)


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