猫額洞の日々

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2014年 12月 25日

Xmas !? /筒井清建忠「時代劇映画の回想__ノスタルジーのゆくえ」読了に追加

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 Xmas !? 盆も正月もお彼岸もないライフスタイルなので、Xmas
なんぞ、さらさら存在しないけれど、写真だけ少しXmas 調で。

 日本から「X'mas」という誤った表記を一掃しようというサイトが
こちら、「正しいクリスマスについて」。「日本クリスマス協会」?!

~12月24日より続く

 『第三章 幕末維新映画の思想 1非命の倒幕派と「権力悪」__
倒幕派映画の系譜』では、まず戦前に作られた倒幕派映画が紹介
される。
<倒幕派から描いた幕末維新映画には、坂本竜馬や高杉晋作の
 ように、幕府が倒れる前に死去した非命の人々を描いた映画が
 圧倒的に多いのである。>(p118~119)
< また、明治十年(一八七七9に西南戦争で死んだ西郷隆盛を
 描いた映画も多いが、これも、
 [中略]
 "明治維新を成し遂げたが、同志たちは権力者となり、東京で
 豪奢な生活をしている。これでは志半ばに倒れた同志に申し訳が
 ない、今こそ本当の維新を実現しなければならない、と考えた西郷
 隆盛は鹿児島で兵を挙げ倒れたのだ"という立脚点から>
作られているので、
 <「非命の人を描いた倒幕派映画」も「西郷映画」もモチーフは
 同一の構造をもっているのである。>(p119)

 しかしクォーテーションマーク中の文章は、書き写していて辛くなる。
「である」の多用といい、著者に文体意識はないのか?
 あるんだけれど紙幅がないので、ダイジェスト的に書くしかなかった
のかしら?

 次に『戦後の幕末維新映画に見る「権力悪」』の例として、『人斬り』
や『六人の暗殺者』が取り上げられる。
 『人斬り』では、
<権力に翻弄されるテロリストの姿を通して、正義を背負った倒幕派の
 なかに潜む権力悪の問題が浮かび上がってくるのである。この映画は、
 権力を掌握するためには手段を選ばず、反対派を倒すためには同志に
 対しても力を駆使する政治的人間に固有の体質を問題にしている[略]。
 こうした形で権力悪に焦点をあてていくのが戦後の幕末維新映画の
 一つの特色なのであった。>(p120~121)

 『斬られの仙太』や『天狗党』『暗殺』『赤毛』については、
<いずれにも「幕府を倒そうとする側にも権力悪が含まれている」
 という視点が見られ、それは「幕府が倒れて新政府ができたけれ
 ども、それは権力の交替にしか過ぎなかった」という主張を含んで
 いるわけである。
  現在の政治体制を批判している側もまた、権力や組織である限り、
 悪を内在させているという視点は必要でもあるが同時にそこには
 問題点も孕まれている。この視点を突き詰めていくと[中略]、
 「どのような変革が行われたところで、結局は権力者の交替に過ぎない」
 という見方に陥る危険性が存在するからである。>(p123)

 ここまでは了解、として次の行でいきなり、
< この視覚は、結局は政治に対する無関心を招き、議会制民主主義を
 維持していく姿勢を弱める結果をもたらすように思われるからである。
 「選挙に投票に行くことによって、世の中は変えられる」という考え方が
 議会制デモクラシーには基底的に必要なのであり、「変革・改革といった
 ところで、結局は権力交替に過ぎない」という視点は「権力悪」を弱者の
 側から批判する地点に立脚しているように見えて、実はそれを放置する
 ことになりかねないからである。>(p124)

 議会制民主主義が今のところ、わたしたちがもち得る、いちばん最悪では
ない政治システムであることを、もっと細やかに述べるべきではないか。
 この論理のすっ飛び様では、議会制民主主義を絶対善視しているみたい。
相対化の罠は、わかるんだけれど。

<「権力悪」を弱者の側から批判する地点に立脚しているように見えて>
という表現にも、疑問がある。これは弱者=善良なる被害者、というイデオ
ロギーではないかしら。

 きまじめなブーマーの社会学者が、現代思想がともすれば無答責である
ことの理由づけに使われかねない、日本的受容ぶりに警鐘を鳴らしている
のだとしても、もっとゆっくりと細やかに語られるべき問題ではないか。
 「権力悪」という言葉だけで、その実体を表せるとは思えない。わたしの
中にも彼らの中にも遍在する、ごく一般的な無意識の貌がそれだとは思う
けれど。

     (筒井清建忠「時代劇映画の回想__ノスタルジーのゆくえ」
     ウェッジ文庫 2008初 J) 





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by byogakudo | 2014-12-25 21:22 | 読書ノート | Comments(0)


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