猫額洞の日々

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2014年 12月 31日

久生十蘭「魔都」に始まり、キリル・ボンフィリオリ「チャーリー・モルデカイ」に終わろうとする2014年

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 治療生活で失われた半年(わたしの体内は戦場だった)を挟む、
サスペンデッドでサスペンスフルな一年であり、5月の閉店、6月
から8月にかけての店の撤去に注目すれば、ドタバタした一年
である2014年が終わる。
 読んだ本に注目すれば、13年度末からの久生十蘭「魔都」に始まり、
失われた治療生活中はローレンス・ブロックに集中し(まだ続いている)、
キリル・ボンフィリオリ「チャーリー・モルデカイ」1・2巻を手に入れて
読み始めた年末、の2014年だ。

 古本屋時代は確実に過去になり、すんなりと引退生活にフィットして、
体力が回復した今日この頃は散歩三昧。幸福な晩年だ、今のところ。
このまま穏やかにフェイドアウトできれば、いうことなしだが、そうは
簡単にすまないだろうと、悲観論からしか何も考えられない質なので、
まず不安を抱え、次いで今から考えてもしかたないか、とあきらめる。
 猫に未来がないように、前頭葉を欠いてるのかもしれないが、明日を
考える能力が足りないので、生き延びられてきた側面がある。

 店を止めて不自由になったのは、店で知り合えた方々と会うために、
もう一度、交友関係の構築をしなければ、ということだ。店が続いて
いれば気楽に訪ねてきてくださって、じゃあ、今日は早く閉めてお茶か
食事にでも、ということになるけれど。

 歳末(12月29日)の東京新聞・朝刊で、角川文庫の広告欄を見た
ときの驚きと言ったら。大体、角川文庫はわたしのジャンルではない
本が多いので、さっと目を通して次の頁へ行こうとして、後ろ髪を引き
ずられた。
 「えっ、『チャーリー・モルデカイ』? ボンフィリオリの?!」

 思えばもう10年近く前になるか。お客さまから、キリル・ボンフィリ
オリの4冊合冊本がイギリスで出版されて、早川書房が翻訳権を交渉
しようとしているのか、したいという話が出ているのか、そんな噂を
伺った。
 全集とまで言わない、どこかでボンフィリオリ選集を出してくれと
願って十余年。いま調べてみたら、05年11月1日、06年7月16日、
07年7月25日、13年9月3日と、ボンフィリオリのことを書いていた。

 願えば叶う。(ときもある。)生きてるうちに間に合ってよかった。
 ジョニー・デップ主演で映画になったから、日本語訳も出た。映画化
されなかったら、まあ、出ることもなかったであろう。ともかく生きて
いて視力・体力・気力のあるうちに読めるとは、なんたる悪運の強さ!

 びっくりして嬉しくて、思わずお師匠さんに電話したら、お師匠さんも
気づいていらっしゃらなくて、
 「いつの新聞に出てた?」と聞かれる。日本人作家たちに囲まれて
埋もれた感じの新聞広告なので、見落とされたのだろう。

 古本屋にならなかったら、開店当初にSFやミステリを売ってくださった
お客さまがいらっしゃらなかったら、ジャケット欠の「深き森は悪魔の
におい」を知ることも読むこともなく、生きてきただろう。
 実店舗でなかったら、お師匠さんにも、K・K 夫人にも、鈴木博美さん
にも、あの方にも、...どなたとも知り合うことはなかった。

 みなさまに感謝しつつ、今年を終えます。来年もよろしく!





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by byogakudo | 2014-12-31 22:53 | 雑録 | Comments(0)


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