2015年 02月 22日

キリル・ボンフィリオリ「チャーリー・モルデカイ 4 髭殺人事件」読了

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~2月20日より続く

 第三話「チャーリー・モルデカイ 3 ジャージー島の悪魔」
こと「深き森は悪魔のにおい」で失った片耳を補償する気持から
だろうか、第四話「チャーリー・モルデカイ 4 髭殺人事件」で
チャーリーは鼻下にふさふさした髭を生やし、妻・ジョハナに
猛烈に嫌われる。アメリカに里帰りするまでの嫌いようである。
 そこへオックスフォードの教授が訪ねてきて、チャーリーが
一度、紹介されたことのある(会った途端に猛烈に嫌った)
女学者の死の真相を究めてくれと頼まれ、どたばたスパイ・
アクションが繰り広げられる。

 そんな話だが、第四話を読んでる間わたしがずっと気になった
のは、第三話に引き続く事柄である。チャーリーの失った片耳の
ことは抑えた調子で出てくる。
 オックスフォードの教授が、
<こちらの上くちびるの傾斜を狙いすましてぎろりとにらみ、口髭
 の熱帯雨林越しに耳とやらを見る真似をしてこちらの傷口を少し
 こじ開けた。>(p44)

 耳の欠如に関しては、たしかこの箇所だけだったと思うが、あとは
誰も見て見ぬふりなのか、何も反応は書かれていない。

 もうひとつ継続した事柄で気になるのは、妻のジョハナことジョアンナ
(@「深き森は悪魔のにおい」)が第三話で負った傷はどこだったのか。

 耳以外であることと、
< 「[略]ひどく斬りつけられ、失血の量が相当[以下略]」>(p286
「チャーリー・モルデカイ 3 ジャージー島の悪魔」)
< 「[略]かなりひどく切り裂かれ、相当量の出血があった[以下略]」>
(p246 藤真沙 訳「深き森は悪魔のにおい」)としか分からない。しばらくは
憔悴して10歳も年をとった印象を与えたが、第四話ではすっかり回復して
いるようだ。

 用心棒兼執事のジョックが片目を失ったり、男の登場人物には肉体的
欠損を起こさせても、ヒロインにはそれはさせない、という作者の姿勢
なのだろうか? 一般論としての女には絶望して悪口三昧だし、気に入ら
ない("ミズ"使用の)女学者は、さっさと殺されても、ヒロインは別口、
騎士道的愛の対象なのか?

 なお、妻に寝室から閉め出された主人公・チャーリーの寝床本は、
<フランスの小説家クロソウスキーが翻訳した、悪名高い春画入りの 
 李漁(りぎょ)『肉蒲団(にくぶとん)』。どの言語においても最高の
 好色本と言える作品だ。>(p20)
__これは読んでないけれど、我が家で長くエロ本No.1の位置を
占めるのは、オクターヴ・ミルボー「責苦の庭」。

 この『肉蒲団』は、山田風太郎が昭和26(1951)年3月17日(土)に
読んだ、
< 李笠(りりゅう)『肉蒲団(にくぶとん)』>(p34 山田風太郎 「戦中派
復興日記」)と同じ本だろうか?

 全4巻読み終えて、第三巻「チャーリー・モルデカイ 3 ジャージー島
の悪魔」、すなわち「深き森は悪魔のにおい」を偏愛しているのだと
諒解した。やっぱり4冊読んでみるものだ。(ついでに他のボンフィリオリ
の翻訳出版も、ぜひ!)

     (キリル・ボンフィリオリ/三角和代 訳「チャーリー・モルデカイ 4 
     髭殺人事件」 角川文庫 2015初 帯 J)





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by byogakudo | 2015-02-22 19:30 | 読書ノート | Comments(0)


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