猫額洞の日々

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2015年 03月 16日

鹿島茂「60戯画 世紀末パリ人物図鑑」読了

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 これも寝しなにポツポツ、読むというより眺めていた鹿島茂の1冊。
鹿島茂がパリの古本屋でぶつかった絵入り新聞、
<十九世紀末後半の文学者、画家、音楽家、彫刻家などのほとんどの
 有名人を網羅した「人物戯画百科」>「レ・ゾム・ドージュルディ 
Les Hommes d'aujourd'hui」の完全揃いと、同趣向の「人物戯画百科」
である「ラ・リュンヌ/レクリプス La Lune-L'Eclipse」から60人を
選び出し一冊にまとめたものの文庫版だが、挿絵が全部カラー!

 著名人の似顔絵ではなく戯画なので、からかった描き様になる。
からかいの角度が、彼らが当時どう見られていたかを示す。世紀末の
有名女性といえばサラ・ベルナールだが、鉤鼻で意志が強そう、と
いうより、気が強くてつき合い辛そうな人柄が伝わる描きっぷりだし、
『白人海軍士官と日本女性の恋』とサブタイトルされたピエール・ロチ
は、夢見る阿呆にも見える。

 ただ、カリカチュアリストが対象を描くとき、文化的な基盤を共通し、
相手を理解しているので、辛辣な描き方ではあっても悪意はあまり来ない。
デンマークの日刊紙「ユランズ・ポステン」や、スウェーデンの地方紙
「Nerikes Allehanda」やフランスの「シャルリ・エブド」のやったこと
とは立場が異なる。
 「私はシャルリ」に対しては、「アルジェリアを思い出せ」と応えよう。
旧植民地からやってきた非白人は"アラブ"と、明らかに二級市民扱いして
いたが、アメリカからやってきた黒人ジャズ・ミュージシャンは、文化の
理解者=フランスなので、丁重に扱う。
 ああ、今日もまた怒っちゃった...。

 「パリ・世紀末パノラマ館」では、ナポレオン三世の話がよく出てくるが、
フランス史の知識も朦朧としているので、二月革命からナポレオン三世への
流れなど、何か読んで理解したい。と思ったら、同じく鹿島茂で、「怪帝
ナポレオン三世 第二帝政全史」 (講談社学術文庫)があるのか。

     (鹿島茂「60戯画 世紀末パリ人物図鑑」 中公文庫 2005初 J)





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by byogakudo | 2015-03-16 20:25 | 読書ノート | Comments(0)


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