猫額洞の日々

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2015年 06月 27日

正宗白鳥「思い出すままに」読了/谷垣禎一のボロの出し方

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 苦虫をかみつぶす系列の作家であろうと見当をつけ、
読んでみた。文庫本ジャケット袖の写真からして可愛げ
なく、愛嬌を封印したような顔である。いま、怖い顔を
した老人が減っている。お師匠さんは目が笑わず、バレエの
K・K夫人も、にらみつけるように歩いていられる。老いては
かくありたい。「かわいらしい、おばあちゃんになりたい」? 
なに、あまったれたことを言ってる!

 山田風太郎を思い出させるシニカルな感慨__というところで、
シニックの日本語訳は"犬儒"だが、今日の東京新聞、楊逸(ヤンイー)
のコラム・タイトルが『犬儒』、
<今の中国では、「犬儒(政権に迎合する知識人)」が増える
 一方で、学問にこだわる気骨を感じさせる人がうんと減って
 しまったようだ。>とある。
 御用学者・ポチ文化人の類いが中国語での"犬儒"らしい。使おうっと!

 で正宗白鳥に戻る。「思い出すままに」はほとんど、紀行文集だ。
 『魯領通過』と題された中に、深夜、モスクワのホテルに放り出されて
困り果てているとき、ホテルにやってきた日本人に助けられる話がある。
 日本人は『大毎』[注:毎日新聞]の特派員であったが、前年、北京で
帰り道が分からなくなったときも、見知らぬ『大朝』[注:朝日新聞]
特派員に助けてもらったのを思い出す。

<あの時と云い、今度と云い、着いた日に偶然特派員氏に出会って
 便宜を与えられたことを思比べて、私は、これら二大新聞が世界的に
 活躍していることに感心した。人間は自分のたまたま接触したことに
 よって概括的に判断を下し、感心したり蔑視したりするのを常例として
 いるのだ。>(p43)

 偏屈なひとならではのヒューマーも好きだ。
 明るくて老若男女の客がいっぱいのキャフェ・クーポールで、
<我々のように明治の初期に生れた者は、栄華の光景歓楽の環境を
 心に映じさせるには、漢字を使用するのが最も有効なので、
 「葡萄美酒夜光杯」とか、「宮女花の如く春殿に満つ」とかいう
 簡単な言葉を聞いても心がときめくのであるが、そういう派手な
 言葉のあとには、きっと哀愁の語句が添うのである。>(p67)
 でも、クーポールの店内にも客たちにも哀愁の影だに及ばない。

 宇野浩二とか広津和郎、正宗白鳥は"自然主義"の作家なのかしら?
わたしならヒューマー作家に分類する。三人とも大真面目に偏った角度
で書いているように思われるが。

 フラン・レボウィッツ「嫌いなものは嫌い」という本があったっけ。
三人と山田風太郎に捧げたい言葉だ。
 しかし、山田風太郎は物事を眺めるシニカルな姿勢で正宗白鳥の
系譜につながり、小説の構想に於いて遠くエンリーケ・ビラ=マタスに
通じるのか。いったい、どんなレンジの作家だ?!

     (正宗白鳥「思い出すままに」 中公文庫 1982初 J)


 安倍晋三の三下奴であろう衆議院議員・木原稔を1年間、役職停止とする
処分を発表した谷垣禎一が、最後に決め台詞ばりに、
<与党の政治家は自分の思ったことを言えばいいというものではない。
 物事が進み、世の中がおさまる状況を作るのが、与党の政治家であり、
 そういう自覚に立ってもらいたい」>(キッパリ!)
と、やったのには笑った。

 <与党の政治家は自分の思ったことを言えばいいというものではない。>
と言った時点で、木原稔の言葉は自分もそう思うことだ(キッパリ!)と言った
ことになるのが、ほんとに分からないのか? 

 木原稔たちの"勉強会"「文化芸術懇話会」は、事前に自民党執行部と
首相官邸に開催を通知していた。自民党ハト派若手議員たちも同日(6月
25日)に勉強会を予定していたが、中止した。させられた?

 戦争法案を廻る一連のドタバタは逐一、英訳してツイッターやフェイス
ブックで拡散しておくべきではないか。いつなんどき不特定秘密保護法
をかけられるか、分かったものじゃないから。

 来年度の公立中学校の教科書展示会(これは東京都の場合)が行われて
いるそうだが、安倍晋三シンパの育鵬社版、特に公民教科書がおぞましい。

 たとえば"愛国心"に関しては、
<何か共通のものを軸にした「われわれ」という意識(略)や国家への
 帰属意識、国の名誉や存続、発展などのために行動しようと思う気持ち
 を愛国心といいます。この愛国心が、多様な人々をひとつの国民へと
 まとめる重要な役割を果たしています。>

 「われわれ」は何のために原爆を落され、原発という名のゆるやかな
原爆を使用させられ、3・11以来のここにいるのか。愛国心はならず者
の最後の砦、というのは真実極まりない。

 安倍晋三・独裁政権を倒そう。





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by byogakudo | 2015-06-27 21:13 | 読書ノート | Comments(2)
Commented by saheizi-inokori at 2015-06-28 12:43
内田百閒も仲間に入れて、、いや、本人が「いやだから嫌だ」っていうかな。
この幹事長の一生も喜劇の主人公ですね。
加藤の乱、大平派、政界の良心、、じつはその都度の適当な行動で一本筋が通っていないお坊ちゃまだった。
今、どうしていいか、まったく分からなくなっているのでしょう。
Commented by byogakudo at 2015-06-28 23:25
内田百閒も入れて苦虫・偏人クィンテットが天国の待合室(?)
で同室することになったら、広津和郎がひとりで座を持たせなきゃ
と気を遣うのではないでしょうか?
谷垣禎一の支離滅裂ぶりは__東大文1ってどういう人材を育む
ところかと...。


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