猫額洞の日々

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2015年 08月 02日

鮎川哲也「ペトロフ事件」読了+山本太郎による安倍晋三・独裁政権追求

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 今のきな臭さが無意識に作用して、昨日のBOでこの本を選ばせた
のだろうか。旧満州、大連を舞台にしたミステリだ。敗戦後の昭和25
(1950)年に発表された。その当時にこの舞台設定は、どんな受けとめ
方をされたのだろう?

 植民地問題は前面に出てこない。人種差別して偉ぶる日本人も、卑屈に
ふるまう満州人も、黄色人種を見下す白系ロシヤ人も出てこない。人種・
民族に関係なく、それぞれの日常を生きる人々が登場人物だ。
 金持ちの白系ロシヤの老人が殺された。遺産をあてにできる親戚の男たち
3人が加害者として考えられる。事件を担当した日本人・鬼貫警部は、淡々と
捜査を進めて、3人のアリバイを崩し、真相に近づく。

 本格ミステリの作りだけれど、もっぱら植民地風俗小説として読む。

 大連、芝生町(しばふちょう)の自宅で、鬼貫警部がラジオを聴く__
<彼の好きなクラシック音楽となると、演奏者の数は多くない。オーケストラは、
 セルゲイ・シュワイコフスキイに率いられる哈爾浜(ハルビン)交響楽団一つ
 しかないし、[中略]
 少ない音楽番組の穴埋めとして雑音の多い内地から演奏を中継するのだが、
 空電妨害が激しい場合は、放送局側が用意しておいた同じ曲目のレコードに
 切り換えられるのである。ニコライ・シフェルブラート指揮の新響の<田園>が
 ワルター指揮維納(ウィーン)フィルの同曲にかわったりするのだ。>(p13~14)

 アリバイ確認のために現場検証が必要だ。被疑者とその婚約者、鬼貫警部の
三人は、当日と同じルートを辿ってみる。旅順の東鶏冠山山頂で、事件の起きた
日と同じように昼食をとる。

 日露戦争のとき、日本人・ロシヤ人双方が血を流した場所で、日露の捜査者と
被疑者とが、互いの食べ物を交換したところから、日露戦時にも友好的な交歓が
あった、というエピソードを三人で交互に語る。

 鬼貫警部は、日本軍陣地にロシヤ側から、チョコレートやキャンディが投げ
込まれた話をする。日本軍はお返しに瓦せんべいやおこしや落雁の袋詰めを投げ、
お菓子がなくなると絵手紙が取り交わされる。
<相互に憎むべき理由を持たない兵隊達は、侵略主義と帝国主義の手先に
 利用された哀れな道具にしかすぎないのだ。>(p103~104)
と、地の文に記される。

 被疑者の男も、負傷者や死者を収容するための一時休戦時に、ロシヤの将校と
日本の中尉が仲良くなった話をする。彼の婚約者も、旅順開城のとき、日本の
看護兵がロシヤの負傷者を手厚く看護した話を。
 それらを受けて鬼貫警部は、
<「こうした話の数々を、わたしは単なる感傷としてしか顧みないということは
 大きな誤りだと思います。そのような態度では、地上から戦争をなくするという
 ことはいつまで経っても出来ませんよ」>(p105)
と、まとめる。

     (鮎川哲也「ペトロフ事件」 角川文庫 1979初 J)

 人間的な、とまだしも言い得る戦場は、この頃で終る。第一次世界大戦以後の
戦争は、どれだけスピーディに大量虐殺が可能かという悪夢の実践である。資本
(兵器産業)という王が地上を支配する。

 市民をそんな戦場に追いやろうとする安倍晋三クーデター政権を、山本太郎が
追求する。
 集団的自衛権と戦争法案と原発の関係をなにも考えていない政権 山本太郎国会
質疑全文掲載
。動画だけでなく質疑全文が文字起こしされている。






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by byogakudo | 2015-08-02 16:15 | 読書ノート | Comments(1)
Commented by saheizi-inokori at 2015-08-02 21:20
鮎川、懐かしいなあ。
私も読み返そう。
そうでもしなくちゃ喉が渇いてしょうがない。


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