2015年 08月 16日

吉田健一「絵空ごと・百鬼の会」再・再読中+戦争法案と日本語

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 晩年は再読だ。贋物であることを廻る吉田健一のファンタシー「絵空ごと」
の再・再読も始める。今日の写真も、それに関連して(?)贋のパリ。木造モルタル
でパリを伝える。

 今から客を連れて帰ると自宅に電話したら、ちょっとしたパーティの準備が
整えられている。
<この部屋の真中にある白い卓子掛けを掛けた円い卓子に料理が幾つも銀器に
 盛られ、西洋人の給仕長[注:というのか家令というのか]が監督して二人の
 白服の給仕が客にシャンパンを切り子ガラスの杯に注ぎ、又リキュールの壜
 とガラスを載せた盆を持って廻った。
 [中略]
  音楽もあった。その細長い部屋の炉[注:薪(まき)が炉で音をたてて燃えて
 いる]とは反対の端に四重奏の管弦楽団が演奏し、それは誰の何というような
 名が付くものではなくてただ聞いているものの気分を多少浮き浮きさせる
 あり触れた曲ばかりで音楽に電灯と火の仕事を手伝わせている感じだった。>
(p38)

 元さんというお金持ちの屋敷には、四人の管弦楽団員が住み込んでいるらしい。
「絵空ごと」は「黒死館殺人事件」の別ヴァージョンなのか?!
 そういうファンタスティックな屋敷も存在する東京で、東西文明論みたような
会話の交わされる、いつもの吉田健一ワールドである。

 <切り子ガラスの杯>と書いたので<リキュールの壜とガラス>と続けるところ、
えらいなあ。後の方はつい、グラスと書いてしまいそうなのに。

     (吉田健一「絵空ごと・百鬼の会」 講談社文芸文庫 1991初 J)

8月19日に続く~


 敗戦直後だったか、志賀直哉が日本語を止めてフランス語を使うようにしよう
と言ったことがある。分かってて言ってる無茶だろう。

 安倍晋三の戦後70年談話はワタミ男のツイッター発言と同じ、接続できない
二つの事柄を、話者を消し、字面を文章の表面に浮かせることで、あたかも
接続しているかのように見せる日本語術の作文だ。

 しかし、共同通信社が14、15日に実施した世論調査によれば、安倍晋三の
戦後70年談話で、
<「おわび」に言及する一方、後の世代に謝罪を続ける宿命を背負わせては
 ならないと表明したことに関し、
 「おわびの表現として適切だ」が42・7%、
 「適切ではない」が23・6%、
 「おわびに言及する必要はなかった」が24・2%となった。>

 戦争法案を
「十分に説明しているとは思わない」81・1%、
「十分に説明していると思う」15・8%。

 戦争法案が「憲法違反だと思う」55・1%、
「違反とは思わない」30・4%だが、
法案に「賛成」31・1%(7月より3・6ポイント増)、
「反対」58・2%(7月より3・3ポイント減)。

 今国会での戦争法案成立に関しては、
反対62・4%、
賛成29・2%。

 そうして、独裁政権の支持率は43・2%(7月は37・7%)、
不支持率46・4%だ。
 この期に及んでお人好しなのか、近ごろの日本人の日本語力が落ちている
から、こんな結果になるのか? 志賀直哉が生きていたら、何というか?

 安倍晋三の戦後70年談話は、どのように英語やフランス語に翻訳された
のだろう? 日本語なら、さらっと"ひとごと"としての戦争の歴史のおさらいを
やり通せても、翻訳されると話者の消滅が明らかになり、より無責任さが露呈
するだろうか?

 エコノミスト誌、ニューヨーク・タイムズ紙、フランスのロブス誌や
ガーディアン紙は、どこも日本会議と安倍晋三の関係に警鐘を鳴らす
記事を掲載している、という。
 東京に駐在するエコノミストの記者は、
< 日本のメディアが日本会議について、あまり注目していないことも疑問視
 している。「一部のメディアしか報じていない。海外での報道の方が目立って
 いるぐらいだ」と言う。>

 以上、「東京新聞」2015年8月16日より引用。





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by byogakudo | 2015-08-16 20:02 | 読書ノート | Comments(0)


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