2015年 08月 20日

再・再読の吉田健一「絵空ごと・百鬼の会」読了

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~8月19日より続く

 前に読んだのはいつだったのかと検索してみたら、2008年10月末に
単行本で再読している。つまり、この本を読むのは三度目だ。「東京の
昔」も二、三度は読んでいるだろうし、そんなに吉田健一の愛読者だった
のか?!

 吉田健一を初めて読んだのは、50代で死んだ変人の叔父からもらった
「ヨオロッパの世紀末」か何かではないかしら。彼の生き方のだらしなさが、
わたしのいい加減さに似ているので、彼に対しては否定的だが、本の趣味は
よかった。
 前に書いたと思うが、中学の入学祝いが早川書房「異色作家短篇集」の何
だったかな、記憶がごっちゃになっている。高校のときが筑摩書房「世界文学
大系」の、たぶん『71 中国古小説集』。まあ、そのとき彼が読んでいた本の
中からの選択だろう。

 で、2008年の感想にも、これが首都高速のある東京(と近郊)に竹林の七賢
がいて話をする小説だと書いていたし、つけ加えるとしたら、英国人の友人を
両国の料理屋に誘うと、大川に雪が降ってくる場面がすてきだ。静かで室内は
暖かく、水の上に軽い雪が降りてくる。

 さらに蛇足すれば、p38で<切り子ガラスの杯>の次なので<リキュールの壜
とガラス>と書くのが大胆だと思ったが、最後のところでは、
<勘八はグラスに泡が立つ下で光が虹色に映っているのを眺めて外からの光が
 虹色をしているのだろうかと思った。>(p228)
と、普通に<グラス>と書かれている。

 両国の料理屋での会話には、
<「食堂に入ると脇棚の切り子ガラスと磨き立てた銀の洋酒注ぎに」>(p185)、
そこを出て、英国人とともに屋台のおでん屋に寄ると、
< コップに注いだ酒は味も匂いも解らないような熱燗で>(p189)、これは
"コップ酒"じゃないと気分が出ないからだろうか。

 短篇の「百鬼の会」は、まだ空襲の後が残る麹町で、酒場に変身した(?)
屋敷に誘い込まれ、ヨーロッパの亡霊みたような女吸血鬼に取り巻かれる話、
と要約するのはあんまりだけど。

     (吉田健一「絵空ごと・百鬼の会」 講談社文芸文庫 1991初 J)





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by byogakudo | 2015-08-20 21:20 | 読書ノート | Comments(0)


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