2015年 09月 14日

F・W・クロフツ/田中西二郎 訳「チョールフォント荘の恐怖」読了+「どちらともいえない」3割

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 昨日に続いて、銀座近くのショーウィンドーの写真だ。昨日は高島屋の
横の骨董屋、今日の写真は新富町の舞踊足袋専門店「大野屋」。
 角地をたっぷりと占める和風一戸建てなので、たぶん老舗なのだろうと
思っていたら、本当にそうだった。ビルにしないのがすばらしい。
 銀座もそうだけれど、下町のお店のショーウィンドーはアイキャッチ機能が
優れている。さすが長年ひとの目を惹きつける工夫を凝らしてきた街や町だけ
あって、通りすがりに自然に目に入り、立ち止まり、目を凝らすことになる。

 その新富町の帰るさ、新宿御苑近くの昭友社書店の均一棚で買ったのが、
F・W・クロフツ/田中西二郎 訳「チョールフォント荘の恐怖」。不思議な
響き、チョールフォントの綴りは、Chalfont。こんな音や綴りに会う度に、
英語はどうもなじめない、不可解だと思う。そんなものだと慣れるしかない
だろうが。

 物語の1/4は、中年女性の恋が彼女の視点で語られる。最初の結婚相手を
失い、娘とともにしばらく貧しい生活をすることになった彼女は、社交のできる
主婦が欲しいという男と、謂わば契約的に再婚する。成功者ではあるが人好きの
しない彼は妻を持ち、彼女は娘とともに生活を保障される。

 相互契約には互いに忠実でなければならないのに、彼女はいつの間にか同じ
階級の知的な男性と恋に落ち、悩んでいる。そんな折り、パーティを開いた夜、
夫が殺される。1942年刊だから、もう第二次大戦の最中で、娘が役所に招集され
たりするが、それ以外はあまり戦争の影を感じさせない、まだ穏やかな田園地帯
での物語だ。

 そこまではのんきに風俗小説を読んできたけれど、フレンチ首席警部が登場
すると、そうは言ってられないで本格推理小説になる。やれやれ。
 地道で実直な捜査は悪くないが、長過ぎるように思えてきて。

 フレンチが上役に呼ばれる。警察大学出たての新人が使いものになるかどうか、
助手にして試してくれと頼まれる。

< 「ただいまこちらへうかがうように命ぜられました、首席警部殿」と彼は言い、
 フレンチの心配の一つは吹き飛んだ。若者はほかの連中と変わりない__
 したがってフレンチ自身とも同様の__まともな英語を話した。言いかえれば
 フレンチがどういう理由からか"オックスフォード"という綽名をつけている気取った、
 ものうげな口調ではなかった。彼はこの口調がいやでたまらなかったが、きっと
 それを聞かされるものと予期していたのである。>(p145)

 新人も地道で優秀なので、二人がかりで全関係者の穴を潰す作業に精を出す。
読者もひとつひとつの穴が潰される様子につき合わざるを得ない。端折れば
よかったのだが。でも、少し、必要とする以上に長いような気がする。

     (F・W・クロフツ/田中西二郎 訳「チョールフォント荘の恐怖」
     創元推理文庫 1983年3版 J)



 日常生活で白黒はっきりさせようとすると、却って問題が大きくなったりする
ことがある。わたしはかなり原理主義的だけれど、それくらいの機微は分かる。
分からないのは、世論調査で「どちらともいえない」と答えるひとだ。

 たいてい、どんな種類の世論調査でも3割はいる。第三択を変えて、
「答えたくない」という選択肢と、「分からないので答えられない」という
4番目の選択肢を作ったら、この3割のひとびとは、どっちを選ぶだろう?
 正直に「分からないので答えられない」を選ぶかしら? 別種の正直さで、
いろいろ差し障りがあるから「答えたくない」を選ぶかしら?

 国会前で行われるデモ、参加するにはどうすればいいの?





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by byogakudo | 2015-09-14 21:22 | 読書ノート | Comments(0)


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