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猫額洞の日々

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2015年 09月 30日

六本木〜麻布十番〜三田一丁目

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 用事があってしかたなく六本木に行く。しかもミッドタウン。さらには
用事は半分しか済まなかった。やれやれ。
 六本木ミッドタウンとか初台オペラシティとか、ご大層駅ビルの類いは
大嫌いだ。最近のビルの寿命は短いが、この手の再開発・大規模駅ビルで
だけで、取り壊しと建設を繰り返して行ったらどうだろう、他の地域を侵蝕
するのを止めて?

 六本木交差点辺りは、以前来たときと同じように場末感が漂い、四方に
ゲス臭をたなびかせる。
 "下品"にはエネルギーがあり、神聖な野蛮ささえ付属するが、"下衆"に
救いはない。

 うんざりしながら芋洗坂を下り、麻布十番界隈。「日本切断研究所」の
ショーウィンドー(写真トップ)がおかしかった。縦半分に切断された
バイクも置いてある。

 麻布十番四丁目-5の古川に面した高速道路下の公園。むかし三田の方向
から歩いてきた。(2010年1月23日

 このときも、再開発されるだろうと惜しんでいた小さな家並みが、まだ
残っていた。細い道がうねり、お風呂屋さんの跡がある崖下(写真・二枚目)
の小さな共同体(写真・三枚目)が継続している。感動的だ。

 さて、ここからどうしよう。
 急ブレーキをかけて自転車が止まる。中高年男性がいきなり歯切れよく
話しかけてくる。
 「この辺を教えてあげようか」

 彼の話術の速度や密度を伝える腕がない。残念。すごい速さで初対面の
よそ者を話に巻きこみ、芝っ子の世界を連れ回す。芝っ子とは仰らなかった
けれど、話の速度と内容から、それと判断できる。

 「近ごろ(手帳を)見ないと思い出せないんだ」と、国民健康保険証や
紙類が詰まった小さいファイルを取り出し、細かい手書き文字を見ながら、
 「電車通りを渡って麻布山善福寺に、ほら、あのシャンソンの」
 「芦野とか蘆原?」(これはわたし)
 「男ですか女ですか?」(こっちはS)
 「女だよ、俺は男に興味ないんだ」
 「越路吹雪?」
 「そう、その石碑があって、誰でも入れるんだ」。
 こんな感じを、高速度で話される。

 お礼を述べて去ろうとすると、引き止められる。大通り沿いの二棟の
タワーマンションを指して、
 「俺、大っ嫌いなんだよ、40階だの50階だのって。ここらも狙われてるん
だけどさ。しょうがないって言えばしょうがないんだけどさ」

 和郎フラットを教えてくださった方(2014年3月28日)も、そうだった
けれど、東京が地元である人々は、いつも無情な変化にさらされ続ける。
 今日の彼にしても、大通りは相変わらず"電車通り"だ。都電が地上を
走らなくなって久しくとも、彼の記憶の中では走り続け、よそ者は彼の
発声の中に、都電のある東京を見る。

2016年11月28日に続く~
 





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by byogakudo | 2015-09-30 21:25 | 雑録 | Comments(2)
Commented by saheizi-inokori at 2015-10-01 10:49
オリンピックが災いの元。
Commented by byogakudo at 2015-10-01 19:50
「再開発」という名前で、幾度となく町を殺し続けることでしか
経済が廻って行かないとイワシの頭を信心しているようですが、
一度、この神話を解体してみたら、と思います。


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