2015年 11月 07日
~11月4日より続く 時間をかけ過ぎたのかしら、感想がどうも纏まらない。直接の感想では ない(と思う)けれど、近代の日本で"男"であることには、こんなに面倒な 手続というか、探偵小説のアリバイ・トリックみたようなロジックを要する ものか。 橋本治は、三島由紀夫の自画像の基準を確認することから考察を始める。 自画像のデッサン・ラインをそのまま受け入れ、もう一度ラインをなぞる ことで、それが三島にとってどういう線描であったかを考える。どんなに 不思議と思えるラインであっても、三島由紀夫(という作家)はそう設定 したのだから、その線に沿って思考を進め、そのプロセスで三島が無意識 に引いた線の意味を見出す。 そんな風に書かれたエッセイだと読んだ。 「オンリー・イエスタデイ」という本があったけれど、近過去は語りにくい。 近すぎて焦点が合いづらい。 あえていえば、近代って普遍的でありたい、古典になりたいと願いながら、 そのじつ、たんに順位づけして権威を持ちたかっただけの、失敗した贋の 王国のことなのだろうか。 近代は死に損なった亡霊みたように相変わらず、ここに在って、ただ、 "近代の後"というだけの時間の中に居続けさせられる。そして"近代の跡" には、こわれた破片があちこち、しつこく残っている。 (橋本治『「三島由紀夫」とはなにものだったか』 新潮文庫 2004年11月1日 J) (1)橋本治『「三島由紀夫」とはなにものだったか』 (2)橋本治『「三島由紀夫」とはなにものだったか』 (3)橋本治『「三島由紀夫」とはなにものだったか』
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by byogakudo
| 2015-11-07 20:59
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