2015年 12月 11日
写真は、9日の明治座と銀杏並木。青空に銀杏の黄色が阿呆らしい ほど絵に描いたような風景なので撮ってもらう。1960年代の写真 みたいになったが、これはフォト・パスティーシュ? ~12月9日から続く 『I外科病院にて』と題された痔の手術のレポートの最初のほう、 < 前日のひるころ、病院の窓口でヒマシ油の小びんを受けとった 私は、その足で街へ出てラーメンを食い、『恋人のいる時間』と いう女の裸体がふんだんに出てくるフランス映画を見、そして パチンコ屋にちょっと立ち寄った。べつに、しばしの娑婆との お別れに食欲、色欲、賭博欲を満足させようというのではなく、 ただ街へ出て惰性的に行動したまでのことである。>(p120) __こういったノンシャランスや、最後の『糞氏の思想』で金芝河の 『糞氏物語』を引用しながら語る、 < スカトローグはウンコへの偏見を排し、ウンコの復権を目ざす 点で社会常識にたいする反逆者とならざるを得ない。だが彼らは 要求の社会的実現を求めてはいないのである。はじめから<降りて いる>あるいは<超えている>、いずれにせよ次元を異にしているのだ。 スカトローグの反逆には悲壮さでなく陽気さが、絶叫でなく笑いが、 またある種の羞じらいが生じてくるのはこのためである。ここでは 笑いすらがつつましやかである。 この点に、かつて私が「永遠の、陽気な破壊者」と定義したスカト ローグの<ネガティブ・オプティミズム>とでも称すべきものの根が 存在する。>(p190~191) __メッセージ(?!)を読むと、あの時代が立ち上がってくるのである。 ウォシュレットが標準装備になった現在、排泄コンプレックスはどんな 展開を見せるのか。このような排泄考察的エッセイが書かれる基盤は失わ れた?のではないかしら。 いちばん驚いた(?)のは、奥付の <昭和52年10月15日第1刷発行 昭和54年9月14日第4刷発行>という箇所だ。 いまどき、こんな文学的エッセイが、文庫になるのがまず冒険であり、 重版されることなど考えられないが、70年代までは別に不思議じゃなかった のである! ((山田稔『スカトロジア(糞尿譚)』 講談社文庫 1979年4刷 J) (1)山田稔『スカトロジア(糞尿譚)』 (2)山田稔『スカトロジア(糞尿譚)』
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by byogakudo
| 2015-12-11 14:17
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