猫額洞の日々

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2015年 12月 18日

牧野武夫『雲か山か 出版うらばなし』も再読を始める

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 『ブライヅヘッド』が単行本(しかも2段組み!)なので、
寝床用に文庫本を、というわけで牧野武夫『雲か山か 出版
うらばなし』の再読も始めた。編集者としての仕事だけで
なく、地方の書店への営業の話も書かれていた、くらいな
記憶はあるが、もちろん細かい点は何も憶えていない。
 こんなに忘れてばっかりで、本を読む意義(?)があるもの
だろうか、しかし、読んでるときは面白いのだから、いいじゃ
ないか...。

 戦前の昭和、それも初期は、大正末年からの円本ブームだった
ことが記される。
 南九州の実家にも改造社の『現代日本文学全集』が転がっていたが、
全集本の多い家だったなあ。戦前版と戦後版の平凡社の世界名画全集、
戦前の漱石全集、小型で水色のシェークスピア全集(坪内逍遥 訳)
などが本棚にあった。戦前と戦後、大衆文化が日本中に広がった時期に、
祖父が揃えたのだろう。
 それなのに、平凡社版の大衆文学全集は、なかった。祖父の教養主義
の範疇に入らなかったからだろうと理解はするけれど、残念。

 牧野武夫は中央公論社の嶋中雄作と同郷で親類ではあるが、嶋中の紹介
で改造社に入社した。

<自己の身よりの者を自分の職場へ引き入れたくないという一種の潔癖性
 がその頃の嶋中氏にはあった。それで私を[注:当時、中央公論社のライ
 ヴァルであった]改造社へ押しつけたものらしい。一方改造社の山本氏には
 また、頼まれれば敵方の身よりの者でも腹を見せて引き受ける気風があった。
 山本嶋中両君の交際(つきあい)の微妙な点は私などの関知しないことであるが、
 ただ改造中央公論両社が激しい競争対立の立場にあることだけは承知している
 から、用心のために改造入社後は絶対嶋中氏に寄りつかなかった。
 [中略]
 「君、嶋中君が社長になったよ」と山本氏がわざわざ私の席に知らせに
 来てくれて「ハアそうですか」とびっくりしていたような始末>(p34~35)

 改造社勤務の5年後、アカの逮捕歴がある部下の就職先を探していたとき
偶然、嶋中雄作に会い、部下と一緒に中央公論社に入ることになり、出版部
開設、そして『西部戦線異常なし』の大ヒットを飛ばす。

     (牧野武夫『雲か山か 出版うらばなし』
     中公文庫 1976初 J) 

12月24日に続く~
 





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by byogakudo | 2015-12-18 21:22 | 読書ノート | Comments(2)
Commented by saheizi-inokori at 2015-12-18 21:44
> 読んでるときは面白いのだから、いいじゃ
ないか...。

同感、、せざるをえないなあ^^。
こんな本、手に入るのかな、神保町で探してみますか。
Commented by byogakudo at 2015-12-19 15:37
たしか中野の均一台で買ったと思います。
(阿佐ヶ谷だったかも?)
記憶がぼろぼろとこぼれ落ちていきます。ああ...。


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