2016年 01月 12日

小林信彦『コラムにご用心』読了

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 サブタイトルが『エンタテインメント評判記 1989~92』。近過去を
思い出してみよう。

 1991年の『35 情報化時代の戦争』より引用。

< いやはや......。
  戦争である。
  [中略]
  戦後生まれ、全共闘世代、ビートルズ世代を誇っていた連中が、声を
 ひそめて、
  「いやー、テレビで見る戦争は面白い」
  とか、
  「面白がってる自分がコワい」
  と言いながら、面白がっている。
  そう、勝っているときの戦争は面白いのである。こわいのは、面白がった
 ツケを支払うときだ。日本にも、もう<湾岸戦争支援>の名で、ツケが回って
 きているのではないか。
  [中略]
  平和な日本に軍事評論家がこんなにいたのか、と、視聴者はびっくりした。
 六十代以上の人はまあ信用できるが、あとは<戦争を知らない軍事おたく>
 である。
  [中略]
  <軍事おたく>もアナウンサーも、基本的なことがわかっていない。
  [中略]テレビ朝日だが、美里某という女性アナがしたり顔で、
  「(開戦の夜に)バグダッドはわざと灯火をつけていたんじゃないですか」
  と言った。わざと灯火管制をしない国があるものか。
  アメリカ軍が、敵の八十パーセントをやっつけた、と発表するとある評論家は、
 イラク機の数を計算し直したりしている。<八十パーセント>とは、大本営発表で
 <まあまあやっつけた>の意味に決まってるじゃないか。
  アナウンサー、キャスター、<軍事おたく>、<イラクおたく>は、戦争の痛み、
 辛さ、重さを感じないで、ただ、ただ、はしゃぎ、しゃべりまくっている。(放送
 大学の高橋教授のようなマトモな人もいるが......。)>(p132~134)

 できごとはすべて情報として認知される。情報は瞬時に消費され、新しい情報に
よって上書きされ、忘れ去られる。新たな情報も同じプロセスをたどり、わたしたちは
表面としての現在しか持たない、認知不全症候群だ。

 夏の参議院選挙まで、どうやって、フクシマや不特定秘密保護法や戦争法や"マイ
ナンバー"への怒りを再度かき立て、持続させられるか。戦略と戦術を考えなければ。
__戦争用語以外の言葉で、これらを考えることはできないのか...。

     (小林信彦『コラムにご用心』 ちくま文庫 1995初 J)





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by byogakudo | 2016-01-12 11:33 | 読書ノート | Comments(0)


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