2016年 02月 01日

小林信彦『<超>読書法』を読み始める

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 猫のエサがなくなったので(近ごろはエサなぞと、むくつけきダイレクトな
言い方は"差し控えさせて頂いて"、キャットフードやペットフードと呼ぶべき
かもしれないが)買いに行く途中に、何もないBOが在る。
 欲求不満気味なので立ち寄る。作っていたBOカードも持ってくるのを忘れて
いたから、ほんとに、立ち寄る予定ではなかったのだ。

 108円棚から小林信彦『<超>読書法』と、ドナルド・キーン/大庭みな子 訳
『古典の愉しみ』を買う。日本文化について知ろうとするとき、外国人によって
書かれた本のほうが、自国の文化に疎い者にはありがたい。比較文化的な視点が
加わるので、翻訳小説育ちには理解しやすい。
 いまの若い人々が日本の美術を見る視線には、きっとジャポニスムの角度が
入っているだろう。日本の歴史は雑種混淆で成立している。純粋主義者の立ち
入る隙はない。

 読みはじめたばかりの『<超>読書法』によれば、小林信彦も加藤周一も、
本を寝ころんで読むみたいで、ほっとする。子どものころ、本を神聖視する
環境と時代だったので、読むときは机に向かった姿勢が正式であろうと信じて
きた。

 小林信彦は、
<「富士に立つ影」も「カラマーゾフの兄弟」も、寝ころんで読みました。
 どんな本でも机に向って読んだことはありません(受験勉強の本は例外
 です)。
  これはぼくだけの癖ではないようで、加藤周一氏の「読書術」には、
 <本は寝て読むもの>という項目があります。これは一九六二年に出た
 本ですが、[中略]
  よく昔の文士が机に向っている写真があります。机の上には本が
 開いてある。
  あの原型は徳川時代の学者のようですが、ま、あれは写真をとる
 時のポーズであり、昔の文士だって、ひじ枕かなにかして横になって
 本を読んだにちがいないのです。>(p15~16)

 ああ、よかった。近ごろこそ、パソコンなんぞという趣味のせいで、机の
横に本を広げて、引用箇所を打ち込んだりもするが、それまでは読んだら
読みっぱなし、ソファとベッドと電車の中と、部屋に着くのが待ちきれない
ときの歩き読みとだけで、机に向かって読むことはなかった。年齢のせいで
重いハードカヴァを寝て読むことができなくなった(手首の骨が危うい!)
のが残念である。

 BOを出て、義母はTVショッピングが好き、わたしは本屋好き、女は買い物
が好きである。どこか違いがあるかしら、と考えた。
 違いがあるとしたら、彼女は役に立つものを探して、ときに役に立たない
結果があり、わたしは、はなっから役に立たないものを求めて、目的通り、
役に立たないものを手にいれる、ということか。

 明日はSの用事をしてあげるという名目で中野に行くだろうから、ついでに
古本案内処にも寄れる。

     (小林信彦『<超>読書法』 文春文庫 1999初 J)

2月2日に続く~


 夕べ新聞紙を束ねてゴミ箱に出したが、先週の中頃(?)の東京新聞から、
いわゆる"マイナンバー"関連記事を取りのけるのを忘れていた。"マイナンバー"
を積極的に民間企業に使わせて、天下り先にしようとする官僚の陰謀を細かく
レポートした記事だったのに。

 安倍晋三・独裁政権は甘利明スキャンダルを、謀略に引っかけられた
被害者の物語に読み替えて流通させようと、TVのワイドショーやニュース
ショーを使いまくる。固定電話のみの世論調査とは言え、それに乗せられた
のか、独裁政権の支持率が去年の12月26、27日の49.4%から53.7%に
上がるのが、ほんとに不思議だ。

 沖縄も東日本大震災もフクシマも貧困の問題も、全部知らんぷりして
生きていたいという、人非人の年寄りばかりが世論調査に答えたのだろうか。
 わたしみたような非国民の目から見ても、浅ましく情けない2016年1月の
風景だ。





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by byogakudo | 2016-02-01 22:50 | 読書ノート | Comments(2)
Commented by saheizi-inokori at 2016-02-02 10:34
私も寝転び派。
この間分厚い写真集を借りてきて結局ほとんどみないままに返してしまったのはそのゆえ。
喫茶店もパラパラめくるためだからもったいなくて入りません。
Commented by byogakudo at 2016-02-02 11:53
安心(?!)いたしました。

ドトールなどのチェーンの喫茶店では、老人たちは文庫本、若い衆は
スマートフォーンか小さなノートパソコンに向かっていますね。


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