猫額洞の日々

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2016年 02月 02日

小林信彦『<超>読書法』もう少し

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~2月1日より続く

 単行本の『<超>読書法』は1996年5月刊、文庫版は1999年5月に
出版された。

 文庫版は、『第1部 <超>読書法』が書下ろし、『第2部 マディソン
郡の謎』は『本の雑誌』1993年8月号から94年9月号まで連載、『第3部 
狂乱読書日記』は『週刊文春』1994年3月3日号から96年3月21日号まで
連載された。いまから23年前の近過去の歴史を思い出しながら読んでいる。

 日本はつまり、1986年12月から1991年2月まで続いた、あの暑苦しく
鬱陶しいバブル経済を、ソフトランディングさせることができなかった。
 TVをつけたある日、突然、不況が始まったことを意識させられた。夜の
いちばん視聴率が高そうな時間帯に、サラ金のTVCFが流れたのである。
 一晩で、それまでの大会社のお金をかけたCFが消え、いかにも安っぽく
汗臭い、消費者金融のTVCFに取って代わられた。バブル経済期を逼塞して
過ごしてきた身にも、何かが起きたのが分かった。

 いま20代の若い人たちは、それ以後の不況の時期しか生きて来なかった
ので、どんなにあの頃が異様でひどいものだったかを伝えたくても、伝え
きれないだろう。ドラ・トーザンみたいな外国人にとっては、ベルエポック
だったかもしれないが、Sやわたしは部屋に籠るしかなかった。

 静かに衰えてゆくことだって選べただろうに、退嬰を持ちこたえるストック
がないから、遅れてきた資本主義国だから、もうひとふんばり、バブルよ、
もう一度、としか打つ手がないのか。

 ごく一部だけバブリーに潤って、GDPなる数字が一部で一時的に上がっても、
99%の恨みがつもるだけ、世情不安がつのるだけなら、全員で静かに降りる
経済政策を考えた方が、安心して暮らせるだけ、まし、とは考えないのか。
 
     (小林信彦『<超>読書法』 文春文庫 1999初 J) 

2月3日に続く~





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by byogakudo | 2016-02-02 22:01 | 読書ノート | Comments(0)


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