猫額洞の日々

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2016年 02月 23日

江戸川乱歩『黒蜥蜴』読了

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~2月22日より続く

 山前譲の解説に、三島由紀夫と江戸川乱歩の出席した座談会
「狐狗狸の夕べ」が「宝石」誌に掲載されたときの、乱歩の
「まえがき」が引用されている。

< 三島さんは昨年アメリカへ行かれる直前、私の所へ電話をかけて、
 「小牧正英バレエ団にたのまれたから、あなたの旧作「黒トカゲ」
 (女賊を主人公とする通俗もの)をバレエに脚色したい。承諾して
 下さい。アメリカから帰ったら脚色に着手する」と申込みをされた。
 三島さんはああいう私の通俗ものも読んでいるらしく「あれは面白
 かった」といわれる。私は意外に感じたが、旧作を三島さんが脚色
 してくれるというのは楽しいことなので、承諾しておいた。それが
 三島さんの外遊中にバレエ団の事情で中止になったので、そのこと
 についてお話しがあった。>(p218~219)

 <私は意外に感じたが>と乱歩は言うけれど、引力と斥力が同時に
存在し、不可能な合一を目指す二項対立のドラマを、三島が愛さない
はずがない。

 女賊・黒蜥蜴には手下がいるし、名探偵・明智小五郎の背後には官憲
の援助があるので、群舞シーンも作れるからバレエの話が出てくるのは
解るが、どちらかといえば、バレエではなくオペラにしたほうが効果的
ではないかしら。黒蜥蜴・緑川夫人と明智小五郎の対話はアリアだ。

 今からでも遅くない。誰か19世紀末風のフェイク・オペラに仕立て
ないかなあ。物語の骨格を際立たせた脚色、衣装や装置はシンプルに
とどめ、メロディだけは大時代な。

     (江戸川乱歩『黒蜥蜴 江戸川乱歩ベストセレクション5』
     角川ホラー文庫 2009初 J)



R.I.P. 合田佐和子.....2月19日死去。





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by byogakudo | 2016-02-23 20:29 | 読書ノート | Comments(0)


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