2016年 02月 24日

ガリコ/亀山龍樹・遠藤みえ子 訳『ハリスおばさんモスクワへ行く』読了

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~2月22日より続く

 感心しない出来だという感想しかなくて、唯一の救いが、上田とし子
の挿絵とジャケット画。わたしは少女小説好きなのに、バーネット夫人
『小公女』とか、レオノーラ・キャリントン『耳らっぱ』とかの。

 これはエンタテインメント小説の欠点ばかり出ている。読者を飽きさせ
ないようにという配慮から、できごとを詰め込み過ぎ、筋立ての変換に
必要だからという理由だけで人物を配置して、使い捨てる。

 出版当時(1972年)、英米人読者が、70年代のソ連の官僚像として
思い描くのは、この程度だろうと作者が勝手に思いこんで描くところの、
凡庸で頭が固くて英米人より劣った存在である、ステレオタイプな"悪の
帝国"ソ連の役人たち。それがイギリス人の通い女中・ハリスおばさんと
いう観光客の、拡大鏡をかけた目を通して描かれる。
 思いこみの類型を、ワイドスクリーンに拡げてなぞるだけの、反共プロパ
ガンダ・エンタテインメント・少女小説、かしら。俗悪さを愛するわたし
だが、趣味の角度からひどくズレていた。

     (ガリコ(ポール・ギャリコ)/亀山龍樹・遠藤みえ子 訳
     『ハリスおばさんモスクワへ行く』 講談社文庫 1982初 J)





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by byogakudo | 2016-02-24 21:44 | 読書ノート | Comments(0)


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