猫額洞の日々

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2016年 03月 10日

(1)谷口吉郎『雪あかり日記/せせらぎ日記』を読み始めた

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 税務署に行ったご褒美として買った谷口吉郎『雪あかり日記/せせらぎ日記』
を少しずつ読み始めた。

 『雪あかり日記』初出は、「文芸」1944(昭和19)年1月号から、1945(昭和
20)年3月号までの5回連載。単行本の出版は戦後、1947(昭和22)年である。
戦中の連載なら、まだ分かるが、朝鮮戦争以前、戦後民主主義真っ盛りの季節に、
ヒトラーのナチ・ドイツ留学記が、そのまま単行本で出せた、というのが不思議だ。

 これは、建築家からただひとりの戦犯さえ出さないですんだ国情と関係するのか、
とわたしは思っていたのだが、初出を確かめるために、うっかり目を通してしまった
堀江敏幸の解説では、もちろんそんな不粋なことは考えられていない。

 でも戦後すぐの日本では、小説家も絵描きも、戦時中の言動をチェックされ、
戦犯に指名されると、解除になるまでは、少なくとも隠棲を強いられたのでは
ないか。
 建築家は国家再建に役に立つから、(天皇と同じように)誰も戦犯に問われず、
戦中に神社まがいの設計図を描いていたことなど本人も他人も忘れて、生まれ
ながらのモダーニスト建築家でやって行けたのではないか、などという非文学的な
解釈は、堀江敏幸は排除するだろう。
 ま、それはそれでいいとしても、巻末の<中公文庫既刊より>にずらりと並ぶ
彼の作品タイトルを見て、「チッ」と舌打ちしてため息をついたのだった。

     (谷口吉郎『雪あかり日記/せせらぎ日記』
     中公文庫 2015初 帯 J)

3月11日に続く~





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by byogakudo | 2016-03-10 21:23 | 読書ノート | Comments(0)


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