猫額洞の日々

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2016年 04月 09日

今週のホイホイ(5)/ジェームス・ヤング/柳下毅一郎 訳『ニコ/ラスト・ボヘミアン』

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~3月29日より続く

 もう少し引用したい。

< ニコに傾倒したのは、概して言えば、ロック上流社会の周辺部にいる
 人々だった。[略]
  わたしたちはみな周縁にいる......彼女[注:ニコ]にとっての周縁に。
 ニコ自身が、かつて彼女を作り、そして追いだした富と名声の世界に
 とって周縁だったように。わたしたちが働いているのは、まともなA&R
 マンなら足を踏みいれようとしないだろう環境、ジャンキーや独り者が、
 疎外感を共有する同士で集まって自己憐憫にひたる場所だった。
 [略]
 ニコはウォーホルに使い道がなくなるほど長く生きのびてしまったのだ。
 美貌はかすみ、名声は周縁に引き下がった。
 [略]
  この空洞の中にわたしは転がりこんだ。
 [略]
 ニコがイタリアへツアーに出るんでバンドを集めてる......ちょっとマンチェス
 ターまで出てきて、話だけでも聞いてみないか?
  そこで待っていたのはニコの最後の「シーン」[略]だ。彼女の周囲を公転
 する人物__過去の人、成功したかもしれなかった人、決して成功しない
 だろう人__の生涯が、耳をつんざくロックの歴史で歌われることは滅多に
 ない。[略]
 われわれにはひとつだけ共通点があった......ニコだ。
 [略]
 われわれは決して、ただの一度も、自分たちが音楽業界の一員だと思った
 ことはなかった。最初から最後までそれが起こらなかったところにいたの
 だから。>(p14~17 『▼まえがき』)
 
 いつものドラムスが賃仕事(!)でいないときに頼んだ男を、仲間内では秘かに
"ニタニタ"と呼んでいたが、

<あとから、彼がきれいなダンサーを連れてニューオリンズに行き、そこで夜毎に
 リズムを叩き出して、スィング酒屋でドラムを叩き、"最高のゼニ"を稼いでいると
 聞いた。あいつなら成功するだろう__彼はドラッグをやらず、毎日清潔なプレス
 したズボンをはいていた。 
  「妙なもんよな」[略]「こっちゃあ人生を通り過ぎただけの相手だと思ってる
 奴が__こっちが向うの人生を通り過ぎただけかもしんねえのによ」>
(p128 『▼ピンクヴィルで朝食を/82年7~8月』)

 ニコはかつて、ビル・エヴァンス・トリオ"Moon Beams"のジャケット写真・
モデルをした。

     (ジェームス・ヤング/柳下毅一郎 訳『ニコ/ラスト・ボヘミアン』
     宝島社 1993初 帯 J)





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by byogakudo | 2016-04-09 21:29 | 読書ノート | Comments(0)


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