2016年 05月 14日

アンドリュー・ヴァクス/佐々田雅子 訳『ハード・キャンディ』半分弱

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 写真は5月12日、渋谷区東三丁目で。窓ガラスには、むかしの、縦線が入った
外から覗かれないガラスが使われていた。

 にぶい灰色した、ただの曇りガラスより断然こちらがすてきだったが、断熱効果
や紫外線カットなどは考慮されない時代の生産物だから、もう製造されていない
だろう。60年代から70年代にかけての、ありふれた木造モルタル住宅は、江戸
東京たてもの園
には、まだ保存される資格がないのだろうか。早くしないと木の
窓枠がアルミや樹脂に替わるし、モルタル壁の塗り替え代金より新建材を張り
つける方が安く上がるしで、あの頃の普通の家が消えてしまう。


 アンドリュー・ヴァクスは、性的虐待を受けた子ども(特に近親姦の被害者)の
保護を訴える論文を著したが、一般には読まれなかった。だから、より多くの読者
に知らしめるためにミステリの形式で問題を伝えようとした、と書いてあった。

 4作目のバーク・シリーズでも、基本姿勢は変わらない。アンドリュー・ヴァクスを
何冊か読んでいると、アメリカ人全員とまではいかなくとも、かなりの数のアメリカ人
が近親姦の加害者であり、被害者であるようにさえ思われてくる。
 そして、アメリカの病いのひとつであろう近親姦は、アメリカンドリームの反転した像
ではないかしらと、いつものヤマカンが発動する。

 <<なぜ一番にならない>>(p45)は、アメリカの軍隊の新兵募集・標語だそうだ。
ここで、蓮舫の「なぜ、一番なんですか? 二番じゃいけないんですか?」を思い出す。
そこからさらに、「棒ほど願って針ほど叶う」だのなんだのを思い出す__これは戦後
の日本では、開発途上国精神として、優雅とほど遠い成り上がり根性を示すことわざに
なってしまったように感じられるが__、静かにゆっくりと衰退を生きることは日本国
においては、なにを贅沢な寝言を、って言われるだけだろうか。
 大変、残念に思う。

 アメリカンドリームはトップを目指す。一番以外は存在価値がない、と洗脳され
続けていると、ひとは脅迫神経症を起こす。
 そこで、一番になれなかった男は、自分の優位性を手っ取り早く確認するために、
身近で手近な子どもに手を出し、近親姦あふれる現代のアメリカが誕生、と理解した
けれど。

 トランプに喝采する非知的な白人層は、一番になりたいと願えばそれが叶うと信仰
しているのだろう。バーニー・サンダースに希望を託す人々にしても、知性の有無は
別として、トランプ派の逆転像ともいえる。

     (アンドリュー・ヴァクス/佐々田雅子 訳『ハード・キャンディ』
     ハヤカワ文庫 1995初 J)

5月17日に続く~





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by byogakudo | 2016-05-14 22:12 | 読書ノート | Comments(0)


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