猫額洞の日々

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2016年 06月 15日

パトリック・ハミルトン/北川依子 訳『孤独の部屋』半分強

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 新人物往来社の『20世紀イギリス小説 個性派セレクション』全5巻
を手にいれたのが約一年前。1、2巻と続けて読み、第3巻、マックス・
ビアボーム『ズリイカ・ドブソン』
を中断して、一年。

 ビアボームは棚上げしたまま第4巻、パトリック・ハミルトン/北川
依子 訳『孤独の部屋』に入る。手元にあれば、いつか読む! って、
威張ることではない。

 原作は第二次大戦が終わって2年後、1947年刊行。作者も読者にも
戦争の記憶は、思い出したくなくても、まだ鮮明だった頃だろう。

 第二次世界大戦末期、ロンドンがドイツ軍の空爆に襲われ、出版社の
秘書であるヒロインは、ロンドン郊外の下宿屋に疎開して通勤している。
 背景からいえば戦争文学、実態は、密室・心理小説の一種だろうか?

 舞台は小さな田舎町の小さな、元・ティールームを改造した下宿屋。
初老の下宿人たちの中では若いほう、だが当時で、39歳・未婚だ。
権力を行使したがる独りの老人が、彼女をいやがらせの標的にする。

 みんなが戦争という巨大な檻に監禁されていると、社会は監獄と直結
する。移動の自由が制限され、個人の領域が制限され(壁が薄いので
隣人の気配が分かる)、平時なら引越せば解消できる不快さに耐えざる
を得ない。この狭い下宿屋が、ヒロインに固着する全世界になる。

     (パトリック・ハミルトン/北川依子 訳『孤独の部屋』
     新人物往来社『20世紀イギリス小説 個性派セレクション4』
     2011初 帯 J)

6月16日に続く~





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by byogakudo | 2016-06-15 23:20 | 読書ノート | Comments(0)


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