2016年 07月 04日
今日も熱い。わたしは死んでいる。 小林信彦は中日新聞にコラムを連載した。1989(平成元)年9月9日付け <植木等、大地真央共演のブロードウェイ・ミュージカル「エニシング・ ゴーズ」>(p519)から始まったエンタテインメント関連のコラムは、 『コラムにご用心』他として書籍化され、5冊目の『映画が目にしみる』 単行本が出版された2006年末に、連載を打ち切ることになった。 『映画が目にしみる 増補完全版』は、 <文庫化するにあたって、舞台や本の話を外し、映画だけにして、 文庫化されていない[注:4作目]『コラムの逆襲』の映画のコラムを 全部入れる[略] こうすると、一九九九年から二〇〇七年まで、つまり、二十一世紀へ の変り目から、二〇〇七年までの映画(もちろん、僕が観た範囲での)が すっぽり入>り(p520~521)、 さらに巻末で、イーストウッドの<「硫黄島」二部作につづく三作[(略])に 触れて>(p520)一冊が終わる、構成だ。 1999年から2007年というと、SはときどきヴィデオやDVDを見ていたが、 わたしはほとんど見ていない。 だから、取り上げられた作品よりも"映画を見る"ことが、様々なメディアで 見ることに変わっていったその様子に、むしろ興味を惹かれた。(小林信彦は 原則として映画館で映画を観る。) 2000年1月7日付け『<20世紀の映画>100本を選ぶ』では、「週刊文春」 のために、小林信彦がひとりで<20世紀の映画>100本を選んだが、 <それらの映画をビデオで追いかける方法は編集部に任せた。ビデオも 品切れが多く、LD・DVDについては触れていない。LDも品切れが多いが、 DVDについては、ぼくは、今のところ興味がない。DVDはまだ手を出す には早い。 そこで、ビデオで入手できる範囲内でのベスト5をえらぶことにした。> (p67下段) 2001年1月12日付けは、『乾杯! 「アニーよ銃をとれ」の復活』__ < アーヴィング・バーリンといえば、なぜか封印されていたMGM ミュージカル「アニーよ銃をとれ」(一九五〇年)が<製作五十周年記念> としてビデオ発売された。入手したい方はSUMIYAという業者に問い合わ せてほしい。>(p130下段~131上段) __そう、SUMIYAである。 「宮益坂の方向にあった、東宝ビルだっけ、映画音楽レコードの輸入盤が あったところ、なんて名前だったっけ?!」と、いつも思い出すのに苦労し、 なんとか思い出してはすぐ忘れる、あのSUMIYAだ。いつ頃まで在ったの だろう? 2001年1月26日付け『ミュージカルがいっぱい』では、NHKの衛星放送 で往年のミュージカル映画を観る。名作揃いだったようだが、わたしたちは 知らないジャンル。 < これらのほかに、「ザッツ・ハリウッド」と称して、四〇年代、五〇年代、 六〇年代のミュージカルのアンソロジー(?)みたいなものを、三日に分けて 放送した。 これらがなぜうさんくさいかというと、一つが二時間で予告されていた のに、いざ放送となると一時間半、したがってGコードも変わるという 怪しさである。>(P134上段) Gコード、何だったっけと一瞬考えた。思い出した。 2001年5月25日付け『必見のイーストウッド作品 「トゥルー・クライム」』 __ <「スペース・カウボーイ」の前の作品で、一九九九年のものである。 レンタルビデオ屋でテープかDVDを借りて、ぜひ見てください。> (p157上段) __2001年(21世紀の始まり)1月頃にはまだヴィデオが発売されていた、 晩春から初夏の候には、レンタルビデオ屋に、ヴィデオテープとDVDが 併存していた、という記録である。 2006年1月24日付け『映画史を面白く料理する 「何が映画を走らせる のか?」』__ < 日本映画の黄金期には、無数の監督がいた。 [略] なにしろ、毎週二本立てという時代さえあったのだから、そえもの映画の 監督が存在するし、フィルムも残っている。ビデオ、DVDになっている 作品もある。>(p466上下段) __2006年現在、ヴィデオは存在している(かの)ようだ。 しかし、2006年2月21日付け『「映画一日一本」 「今夜も落語で眠りたい」』 での芝山幹郎『映画一日一本』には、 <<DVDで楽しむ見逃し映画365>というサブタイトルが付いている。文字通り、 DVDで見られる映画案内である。>(p472上下段) __映画館以外で映画を見るメディアとしては、もうDVDの時代であろう。 <舞台や本の話を外し、映画だけにして>作られた文庫本だが、映画本の 話は出てくる。どれも面白そうだ。ミーハー映画雑誌『映画の友』ファン だったので、今でも映画本が好きだ。この本も楽しく読んだが、女優と映画の 好みのちがいは、これはどうしようもない。 ニコール・キッドマンが美人で大女優? ユーマ・サーマンやアンジェリーナ・ ジョリーには反応しない小林信彦だ。 (小林信彦『映画が目にしみる 増補完全版』 文春文庫 2010再J) 夕刻雷鳴、沛然たる驟雨。少し蘇生して買物に行った。
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by byogakudo
| 2016-07-04 20:04
| 読書ノート
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