2016年 08月 17日

アンドリュー・ヴァクス/菊地よしみ 訳『クリスタル』読了

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 いやあ、長い。こんなに長く書く必要があるかしら?
576頁の半分くらいまで、物語はほとんど進まない。

 冒頭、バークの相棒犬・パンジー、住まいと贋の身分証明など、
彼の生活基盤がすべて奪われそうになる。なんとかリカヴァしたら、
前作『セーフハウス』の主宰者、クリスタル・ベスが発砲事件の
巻き添えで殺される。発砲事件はその後、ゲイの虐待者を殺し続ける
一連の事件になるが、手口が自殺した筈のウェズリイそっくりである。
 バークはゲイの団体から、ゲイの守護神のようなこの殺人者を見つけて、
彼を無事に逃がすことを頼まれる。

 そこからウェズリイの影を追い求めて、はかない手がかりを探り、長い
待機の時間を過ごす。バークがそうするだけでなく、読者も読んでる間、
待機につき合わなくてはならない。やれやれ。
 ゲイの団体との橋渡し役である、レズビアンのネイディーンという女が
今回のいわば客演女優だが、なんか、めんどくさい女である。バークを
支配したいのだろうか、ふたりが会って喋る場面になると、これこそ紛う
かたなきディスコミュニケーション、といった按配になり、バークも読者も
うんざりする。
 しかしネイディーンのめんどくささを省略してしまうと、話がなくなる。

 バークの憧れでもあったウェズリイとバーク自身とは似た面もあるが、
決定的なちがいがある。今回のことでそれを再確認して、バークは自らの
生を生きる。

      (アンドリュー・ヴァクス/菊地よしみ 訳『クリスタル』
     ハヤカワ文庫 2001初 帯 J)

追記:パンジーの好きなTV番組に大きな変化あり!





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by byogakudo | 2016-08-17 15:44 | 読書ノート | Comments(2)
Commented by saheizi-inokori at 2016-08-17 21:53
そうなんだよなあ、ちょっと今逡巡してます。
Commented by byogakudo at 2016-08-18 00:02
あまり夏向きじゃないのかも?


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