2016年 08月 18日

岡本喜八『しどろもどろ 映画監督岡本喜八対談集』読了

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 『マジメとフマジメの間』に続く、文庫版・岡本喜八選集(実質、
そうでしょう?)・第二弾は、映画関係者同士での対談集だ。映画を
作る際のあれこれを語る。技術的なことにも話が及ぶ。だから、トリュ
フォー『ヒッチコック映画術』級に、とは言わないけれど、もう少し
補足説明があったらな、と思う箇所もある。

 『第四部 わが師匠、マキノ雅弘、成瀬巳喜男』『川西正義と
インタビュアー/村川英』で言えば__

岡本 成瀬さんはタテビキのひっくり返しなんて現場処理の
 うまい人だから
 [略]
 成瀬さんはタテビキをやるんです。タテで攻めていって、「メセンは
 こっち」なんて立ったり、何かをしている。タテビキのナカヌキですね。
 アクションでつないだり、目をグッと上げたら、その時は立っているとか、
 立っている途中はナカヌキでやるとか、そういうのはかなりおそわった。>
(p283~284)

 どういうことなのか想像しようとして、できなくって、たぶん実際はちっとも
複雑なことではないのだろうが。
 ただ、これらの説明にまで手を伸ばすと際限がなくなり、このページ数では
収まらない。

 『ヒッチコック映画術』だって、ちゃんと理解したかどうか不明だけれど
__店で売っちゃった。『kihachiフォービートのアルチザン―岡本喜八
全作品集』も『大根役者・初代文句いうの助』もマイケル・ケイン『映画の
演技』も売っちゃった。2冊ずつ手に入れてから古本屋になるべきだった。
__人事をすっ飛ばして技術的な事柄ばかり話される爽快さを、覚えている。

 日本の映画監督について書かれた本で、技術的なことをメインにした本って
あるかしら? なんというか、「暮しの手帖」の料理本級に映画技術を語る本
があってもいいように思う。自分は作らなくても、趣味で料理本を読むこと
だってあり、だと思うけれど。(あっ、料理本の需要と、映画本を必要とする
読者数とは、断然ちがうのか。)

 わたしはそれほど映画を見ていない。映画雑誌と映画本のほうが目にした
量が多いだろう。そういう頼りない映画ファンであっても、映画館に行けば
わくわくするし、映画本は、わくわくしながら読む。映画への熱や偏愛が
伝わってくるから。
 これも、そういう一冊だ。成瀬巳喜男『浮雲』予告篇は岡本喜八が作った、
なんて読むと、嬉しくなる。

 『第五部 人間、岡本喜八』『小田島雄志・村松友視と 4ビートの映画作り』
より引用。映画館に入って映画の途中から観ることについて__

小田島 観るほうからすると、途中から観て一周回ったところで組み直す
 わけだな。最初から最後までをもう一度。[略]
 村松 [略]観るほうにもエネルギーがいりましたよ。いま世の中贅沢に
 なってきてるから、汽車の切符は必ず指定席買って乗るし、映画は始まる
 前に行きますよね。ですからますます演劇的、文学的になっちゃってるんだと
 思うんです。だけどほんとの名画というのは、途中から観ても大丈夫な映画
 みたいな気がして、ぼくはどうもこだわりがあるんです。>(p368~369)

 文庫版・岡本喜八選集・第三弾、出ないかなあ。

     (岡本喜八『しどろもどろ 映画監督岡本喜八対談集』
     ちくま文庫 2012初 帯 J)





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by byogakudo | 2016-08-18 23:14 | 読書ノート | Comments(0)


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