2016年 08月 24日

アンドリュー・ヴァクス/菊地よしみ 訳『グッド・パンジイ』読了

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~8月23日より続く

 一昨日までのポートランドからさらに移動してアルバカーキ、さらに山奥の
秘密のアジト...と、広いアメリカを転々とするバーク(たち)である。最後に
海上での対決で締める。

 しかし、これだけ何度となくバークの少年期からの出来事のおさらいをやり、
過去の事件が(あたかも!)今回の事件の伏線だったと言いながら、こんな
展開で終結させていいのかなあ。時間と空間をこれだけ拡げて、こう締める?
 疑問の残るストーリー・テリングだ。

 まあ、親と子どもの近親姦は強姦だ(子どもとの性行為は性的虐待に他なら
ない)、の一点張りでバーク・シリーズを18冊書く。猛烈なエネルギーである。
 アンドリュー・ヴァクスの書き続けるエネルギーは、主人公・バークと同じく、
怒りを燃料としているのだろうか。怒りに本人が焼き尽くされないで、小説化
し続けられるのが、タフだなあ、すごいと思うけれど、これ以後、翻訳が行わ
れていないのも、無理はないとも思う。

 バーク・シリーズは、裏側からのアメリカン(・ファミリー)・ヒストリー
だろうか。バークとそのファミリー(仲間たち)は移民の国、アメリカを象徴
して、人種もちがい、生物学的な血縁関係はゼロだが、必要とされるときには
一族として結束する。テンポラリな共同体ってのは好きだけれど。

     (アンドリュー・ヴァクス/菊地よしみ 訳『グッド・パンジイ』
     ハヤカワ文庫 2003初 帯 J)



 地方には仕事が少ない。自衛隊は役所勤めのように、地方の安定した
就職先のひとつだ。自衛隊員になったとき、災害救助の面では頑張ろうと
思ったことだろうが、国外の紛争地で人を殺したり殺されたりする可能性に
ついては、これまでの契約条項にはなかった筈だ。戦争法でいきなり追加
された契約条項である。

 自衛隊員はこれを拒否する権利がある。防衛相・稲田朋美が、自分は行く
ことがないので、靖国が待っているから安心して行ってくれと調子よく宣おうと、
断固、拒否すべきである。安倍晋三・独裁政権の言う安保法は、そもそも憲法
違反なのだから。

 ちまたに戦争の影が射す。いつも愚劣な法話でいらつかせる住職だが、
息子が住職資格試験(?)最終段階の生死を賭した修業に達した、と
話した際、
 「生死の境にある戦場で上官が兵士の命を気づかうように、修業を見守る
師僧もまた、云々」と口走り、おっと、どうしたと思ったことである。
 もう戦前ムードに汚染されているのか。そしてそのことに気づかないでいる
のか?

 先日もまた、しなきゃいいのに法話する。読経のフレージングやアーティキュ
レーション(?)から洩れてくる自意識がうるさいのに、かてて加えて愚かしい
法話をする。

 言いたいことはつまり、学業優秀な息子を、もっと直接に世の中の役に立つ
仕事のできる息子なのに、坊主にさせますが、みなさん、お引き立てのほど、
どうぞよろしく、である。

 息子が東大理1、それがどうした。自身も東大みたいだが、
 「先代が杉並区に寺を移しましたが、慶応閥の界隈に東大閥の寺がやって
参りまして、云々」と口走る。無意識がほとばしった、というところか。
 僧侶が慶応だの東大だの、平気でという言葉を使うことに何の
疑問も持ってないようである。
 偏差値だけ高い無教養の男が、戦争モードに軽々と乗っかって行く。
いやな時代が始まっている。





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by byogakudo | 2016-08-24 23:30 | 読書ノート | Comments(0)


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