猫額洞の日々

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2016年 09月 01日

奥野健男『小説のなかの銀座』読了

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 写真家・廣瀬忠司氏がホームページを作られたのでリンク
しました。


 先日の盛林堂、店頭で単行本を2冊。一冊が奥野健男『小説の
なかの銀座』、もう一冊がいま読んでいる広岡敬一『ちろりん村
顛末記』だ。

 『小説のなかの銀座』が均一台なのは、献呈署名のある見返しが
半分、切りとってあるからだろう。
 <○様 淳子 0926>と残っている。

 淳子、who? 奥付を見ると、
<装幀・黒川淳子>とある。奥付の右頁、<挿画家*目次>にも
7人の画家の中に同名が記されている。

 奥野健男による銀座小説・アンソロジー。『銀座百点』1980年
1月号から1981年12月号まで連載された。
 銀座が出てくる小説を24篇選び、紹介、解説する。各篇ごとに
挿絵がつく。編者による銀座エッセイ『ぼくのなかの銀座』が、
前書きみたように収められている。

 小ぶりな(19.5×12.5×1.5cm)ハードカヴァ。1983年刊だが、
この頃だと1500円で、薄手だが、ハードカヴァが出せたのか。
 ISBNもバーコードもなく、消費税もない。
 ジャケット裏に<定価1500yen>とあるだけでなく、奥付にも
堂々と(?)、<定価 一五〇〇円>と書いてある。消費税という
取引税が導入されてから、税率がいつ変わるかしれないので、奥付に
定価は記されず、税抜き価格がジャケット裏に、ISBNやバーコードと
並んで記される、近年の本の風景になった。

 『あとがき』より引用。

< やはり銀座は、浅草とならんで、文学者にとって大都会の象徴で
 あったのだろう。昔は銀座住いの作家もいたのだが、それより大阪
 はじめ、東京以外の地に育った作家が銀座に強い関心を持つようだ。
 関東、東京の象徴として。
 [略]
 石原慎太郎の『太陽の季節』のころまでは湘南のかっこいい若者も
 東京で遊ぶと云えば、やはり銀座だったのだ。
  最近の若い世代に銀座を舞台にする作家は少ない。しかし都会の
 繁華街の象徴として六本木も赤坂も、原宿も、モードとしての意味
 しかもたない。若い世代、さらに次の世代は、大都会の何を"原風景"
 として、象徴として、記号として、そして爆破点とするであろうか。>
(p163~164)

 "都会"が消えて"都市"に代わり、"都市"は"郊外"化の進行中だ。
"街"や"町"は、いまでは"かけら"として、ひっそりと点在する。

     (奥野健男『小説のなかの銀座』 砂子屋書房 1983初 J)





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by byogakudo | 2016-09-01 20:38 | 読書ノート | Comments(0)


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