2016年 10月 10日

(1)ドン・ウィンズロウ/東江一紀 訳『ストリート・キッズ』開始

e0030187_19452015.jpg












 写真は9月25日の黒田機器株式会社事務所棟。

 ドン・ウィンズロウ(1953年生まれ)の原作は1991年刊行。アンドリュー・
ヴァクス(1940年生まれ)のバーク・シリーズ第一作、『フラッド』は1985年。
 1990年前後のアメリカン・ミステリのトレンドは、子どもの性的虐待だったの
だろうかと思うくらい、物語の設定が似ている。

 あ、その前に。どちらも(始まりは)ニューヨークが舞台であること、主人公の
身近に父親的存在(実の親ではない)がいることが共通している。
 バークなら、刑務所で知り合った年長の黒人男性・プロフ、ドン・ウィンズロウ
の主人公、ニール・ケアリーには、11歳だったニールが掏摸をやり損なった相手、
ジョー・グレアムがいる。ニールは彼に「父さん」と呼びかける。

 ニューヨーカー、ニール・ケアリーは生物学上の父を知らない。母はクスリ代
稼ぎの娼婦だったので、ストリートで自活(掏摸やら掻っ払いやら)していたが、
「父さん」ことジョー・グレアムと知り合う。グレアムもいかがわしい稼業だが、
「父さん」が上流階級のスキャンダルもみ消し業みたような身分になったので、
息子たるニールはその手足として、私立探偵的働きをすることになった。

 警察には相談できない、普通の私立探偵には任せられない類いの、汚れ仕事
の見返りに、上流階級のセクト(?)"朋友会"から学費その他を出してもらい、
23歳になったニールは、コロンビア大学院生である。英文学専攻みたい。

 ガールフレンドと一緒に翌日の試験に備えていたとき、「父さん」から電話が
あり、副大統領候補の行方不明の娘を探すことになる。

 会話の軽妙なやり取りは地の文でも、情景/状況に対するニールの反応という
形で引き継がれ、全部その調子で進むので、必然、話は長くなる。
 "レトリック・命"なのかもしれない。
 バーク・シリーズを青春ものにして明るく軽い調子で書くと、こうなるかしら?

 p108現在、物語は過去に戻り、「父さん」がニールに部屋の掃除のやり方を
教えようとしている。『第一部 片手の拍手の音』という章題で、サリンジャー
を思い出すのが、わたしのお年頃。

     (ドン・ウィンズロウ/東江一紀 訳『ストリート・キッズ』
     創元推理文庫 2006年24版 J)

10月13日に続く~





..... Ads by Excite ........
[PR]

by byogakudo | 2016-10-10 20:11 | 読書ノート | Comments(2)
Commented by saheizi-inokori at 2016-10-10 22:01
なにか既視感があったのはこの小説のせいかもしれないです。
でもこうして拝見するとすっかり忘れているのになあ。
Commented by byogakudo at 2016-10-10 22:47
これから長丁場です。レトリックの多用は、途中から
目立たなくなり、思い出したように差し挟まれると、
先に読んだSが言っていましたが、本が厚い、長い、
寝床で読むには、やや物理的に重いと、ハンデあり
ますね。


<< 加藤周一『西洋讃美』読了      フォルカー・クルプフル&ミハイ... >>