猫額洞の日々

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2016年 10月 13日

(2)ドン・ウィンズロウ/東江一紀 訳『ストリート・キッズ』読了

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~10月10日より続く

 なんだかなあ、合わなかったみたい。

 ベースは試練を通して、少年から青年へと成長する教養小説。
「父さん」からストリート・サヴァイヴァル術を叩き込まれる特訓
の詳しさとか、学校に通えるようになってディケンズを知り、本を
読むことに目覚め、読書家にして蔵書家の男性とは__

< 「何を勉強しておるのかね?」
  「十八世紀文学」
  「探偵と学者、妙な取り合わせだな」>(p200)

__という会話も交わすようになる。

 家出した少女を追って渡ったロンドンでは、"クラブ"でパンクロックの
歌詞に共感するかと思えば、彼女のヤク抜きのために連れ出したヨーク
シャーの田舎で、生まれて初めて、自然のうつくしさと朝の気持よさに
感激する、コントラストの妙とか。

 シメの冒険活劇調もしっかり書かれている。長篇ではあるが、もし誰かが
映画化しようと思ったら、どの部分をつまみ上げても2時間以内の脚本に
なるような土台、とも見受ける。(脚本編集用に長く書いたってことはない
だろう?)

 気が合わなかったのだろう、たぶん。うまいのに。

 ドン・ウィンズロウはアメリカの作家だが、クラブのシーンで、イギリスの
小説や映画や音楽はずっと、下層階級の青少年の反抗が定番のテーマだった
のではないかなぞと、『すてきな すてきな スパイ』(たしか処分しちゃった
けれど、感じがよかった)をなつかしく思い出した。
 
     (ドン・ウィンズロウ/東江一紀 訳『ストリート・キッズ』
     創元推理文庫 2006年24版 J)





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by byogakudo | 2016-10-13 17:55 | 読書ノート | Comments(0)


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