猫額洞の日々

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2016年 10月 28日

(2)J・G・バラード/監修 柳下毅一郎/浅倉久志 他訳『J・G・バラード短編全集1 時の声』1/4

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 写真は10月2日のH.I.DEPOT、店内。

~10月25日より続く

 『短編全集1』では『ヴァーミリオン・サンズ』収録作品のうち、
『プリマ・ベラドンナ』『ヴィーナスはほほえむ』『スターズの
スタジオ5号』が読める。まず、これらから読んだ。
 やっぱり好きだ。大好きだ。

 と、騒いでいるだけでなく、今回、大きな活字で読めるせいか、
単行本なので、昼間、卓上に開いて読むせいなのか、スピードを
落としてじっくりと読み直す。
 白日夢という印象は、むかし文庫本で読んだときと変わらないが、
どんな夢だったかを再確認しながら読むうちに、各短編の発表年が
気になってきた。

 デビュー作でもある『プリマ・ベラドンナ』が1956年。『ヴィー
ナスはほほえむ』、初出1957年で改稿1967年。『スターズのスタジオ
5号』、初出1961年で改稿1973年。

 イギリスは戦勝国とはいえ、アメリカとちがって戦後復興がかなり
大変だったと思うが、1956年の時点で、ひとびとが時間を殺すために
生きる世界、<大休止(ザ・リセス)>時期のリゾート地、ヴァーミリオン・
サンズを想定したのかと、敗戦国の戦後に生まれた人間として、改めて
ショックを受ける。

 日本語訳が単行本で出たのが1980年(文庫版が1986年)。
 この時点でなら、余暇を過ごすという意識は日本国でも共通のものに
なっていたが、1956年やそこらで、何もしない日々を生きる小説が書けた
だろうか。(「もはや戦後ではない」と経済白書に記されたのが1956年
であり、その後には「追いつき、追い越せ」の高度経済成長期が待って
いた。)
 それとも、1956年ころのイギリスは「ゆりかごから墓場まで」の社会
福祉政策が進行していた時代だから、ある種の反映として、外挿的に、
こういう設定が考えられ得たのだろうか。

     (J・G・バラード/監修 柳下毅一郎/浅倉久志 他訳『J・G・バラード
     短編全集1 時の声』 東京創元社 2016初 帯 J)

10月31日に続く~





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by byogakudo | 2016-10-28 22:28 | 読書ノート | Comments(0)


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